2010年07月20日
みなとフェスタ2010 in 平良港
7月19日の「海の日」にあわせて、宮古島でも海に関連したイベントが行われました。周囲を海に囲まれた宮古島では、日頃から海に親しむ機会が多くありますが、「みなとフェスタ2010 in 平良港」では、普段なかなか目にする機会の少ない船が紹介されるなど、興味深いイベントが開かれていました。
最初に向かったのは平良港第三埠頭。海上保安庁の巡視船「はてるま」が一般公開されています。「はてるま」は第十一管区・石垣海上保安部(宮古はひとつ下のランクの海上保安署)に所属する1000トン型巡視船(全長89.0メートル 全幅11.0メートル)で、2008年に就役した「はてるま型巡視船」の一番艦。現在、同型艦は9隻あり、そのうち4隻が沖縄(残る3隻は、石垣・与那国/よなくに、那覇/もとぶ、中城/くにがみ)に配備されています。これは2001年におきた「九州南西海域工作船事件」を受けて新たに開発された、拠点機能強化型巡視船という機能を持った新型の巡視船なのだそうです。ちょっと物騒な感じを受けますが、改めて沖縄は海洋県であり、国境県であることを思い出させてくれました。
さて、いよいよ「はてるま」へ乗艦です。休日の無料イベントだけに子供連れが多いのは予想の範囲内ですが、観光客船とは違い巡視船は実務一辺倒の船ですから、乗り込むタラップも足元に海面が見えている大人仕様で、子供にはちょっとハードルの高い乗船となっています。
前方甲板へと乗り込み船体中央にそびえる艦橋を見上げてみると、手前には放水銃が奥には30mm機関砲が睨みをきかせ、艦橋の上部にはさまざまなアンテナやレーダーが目を光らせ耳をそばだてていました。
順路に従って甲板から船内へと進むと、狭い通路の奥に食堂を兼ねた休息室がありました(もう一ヶ所、会議なども出来そうなちょっと上質な部屋もあった)。ここでは子供向けに海保のペーパークラフト作りが出来るコーナーが設けられていました。
続いて急勾配の階段を上って2層目へ。こちらは居住スペースのようで、廊下にはドアがずらりと並んでしました。さらにもう1階層上ると業務エリアになりました。大きな部屋の壁際にはさまざまな機器が配置され、部屋の中央には海図が書かれた大きなテーブルが据えられており、ブリーフィングルームでもあるようです。
この部屋の隣には船をコントロールするブリッジがあります。円形に表示されるのレーダー画像やデジタルの海図など、ずらりと並んだ計器に大人も子供も興味津々。ここで面白いと思ったのは椅子に車のようなシートベルトがついていること。荒れた海では必需品なのだそうです。そういえば三階層目にあるブリッジは、埠頭に停泊中にもかかわらずゆっくりと揺れていました。聞けば速度重視の設計で船体が軽く作られているため、小さな波でも揺れてしまうのだそうです。
船の後方へと移動すると黒い大きなゴムボートが搭載されていました。ゴムボートといっても、もちろんただのゴムボートではありません。有事の際には巡視船から飛び出してゆく高速複合警備艇です。
最後部にはヘリコプターの離発着が可能な広々とした飛行甲板がありました。拠点機能強化型巡視船として開発された「はてるま」の特徴のひとつで、現場に展開したヘリコプターへの補給や支援が出来るようになっています。
普通なら「はてるま」の活躍を期待と書きたいところですが、国際情勢に左右されやすい沖縄を管轄するコーストガードだけに、「はてるま」が活躍する日が来ないことを祈りたいと思うのでした。
マリンターミナル前の第三埠頭へと移動して、引き続き「みなとフェスタ」の様子をレポートしたいと思います。見事な包丁さばきでカツオを三枚にさばいて見せる試食付の解体ショーや、自然な色合いが美しい海藻を使った押し葉作り。青空市場、パネル展、水上バイク体験搭乗などが開催されていました。
中でも子供たちの注目を集めていたのは、水中バックホウ(水中作業重機)の一般公開でした。子供じやなくても「働くのりもの」はやっぱりわくわくします。
台船に載ったショベルカーが吊り上げられると、床のハッチがスライドして行きます。ここでテーマソングが流れてくれば、間違いなくロボットアニメの発進シークエンスを彷彿させる雰囲気。ハッチが開き海が現れるとワイヤーが下ろされ、ショベルカーは海中へ沈んでゆきました。
ちなみに水中での作業は有線ではなく、潜水士が直接ショベルカーに乗り込んで作業を行います。これはより精度の高い作業が求められるからなのだとか。現在、この水中バックホウは下崎沖の防波堤設置工事に活躍しているそうです。
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海の日のイベント「みなとフェスタ2010 in 平良港」は、毎年続けられていて内容の興味深さと面白さの割には、開催時間も午前中のわずか3時間(9時~12時)と地味がちで、正直、おまつりとしては盛り上がる前に萎んでしまっている感じがちょっと残念でなりません。最近なにかとこうした催しには力を注いでいる宮古島市も、港湾課がイベントに協力をしていたり、市長も巡視船「はてるま」への表敬訪問などをされていたけれど、国(沖縄総合事務局平良港湾事務所)も絡んでいて思うようには出来ないのかもしれません。
宮古島の海の玄関口として重要港湾にも指定されている平良港は、島の歴史を紐解くまでもなく近代に至るまで、漲水御嶽に由来する漲水港と呼ばれていましたが、いつの頃からか漲水の港は平良港へとその名を変えてしまいました。でも一体、いつから平良港になったのでしょうか。誰か知っていたら教えてください!。
[参考資料]
みなとフェスタ2010 / 巡視船はてるま (FMみやこ:動画)
1000トン型巡視船 PL「はてるま」型
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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