元祖 宮古島うずまきパン名鑑

あんちーかんちー編集室

2008年11月11日 09:00


今回の「あんちーかんちー」は、元祖・宮古名物の『うずまきパン』です。島のソウルフードとも云われている、とっても甘い菓子パン。真っ白なクリームをパンでぐるりと巻いた、うずまき状のパンを島中から集めてみました。

[うずまきサンド] まるそうパン
L133 / W155 / H28mm 120g 120円
[小麦粉・砂糖・マーガリン・卵・ブドウ糖・イースト・乳製品・乳化剤・食塩・イーストフード・保存料(プロビオン酸ca)、香料、バタークリーム]
宮古島市伊良部字長浜179 0980-78-4104

うずまきパンの代名詞的な存在で、うずまきパンの起源とさえいわれている「まるそうのうずまきパン」。正式名称は「うずまきサンド」で、伊良部島の作られています。
外側はパリッとしたちょっと硬めの平焼きのパンで、バタークリームを巻いてあります。クリームの甘さは島のうずまきパン随一といえる甘さで、独特のジャリジャリ感もしっかりしています。
まるそうパンは普通、切り落としてしまう両サイドの部分も製品としているため、厚みのある通称「アタリ」といわれる耳の部分のうずまきパンが店頭に並んでいたりします。見た目はちょっと不恰好ですが、厚みが32mm、重さも144gもUPします。
また、伊良部島から遠ざかるに従って、輸送コストの上乗せなのでしょうか、若干値段が高くなる傾向にあります。
宮古島島内では、マリンターミナル売店、宮古空港売店、オキナワ宮古市場、ココストア松原南店などで販売されています。
 
[うずまきパン] 京屋のパン
L115 / W160 / H35mm 140g 105円
[小麦粉・イースト・砂糖・卵・食塩・VEカロチン・香料・乳製品、マーガリン]
宮古島市平良字下里939  0980-72-2431

富士、大洋と並ぶ宮古島島内の三大パンメーカーのひとつ京屋のうずまきパンは、うずまきパンを作る工程にもパン職人の工夫がなされ、パンを巻きやすいように波型のパンを使っています。巻き上げられたうずまきパンの渦の中に、不規則なギザギザが出来るため、そこに挟まったクリームも波を打つような紋様を描き、その形状の美しさがとても目を引きます。
濃い目の滑らかなクリームは甘さを引き出す塩味が舌先に感じられ、ジャリジャリ感は控えめになっていて、食べやすいタイプのうずまきパンに仕上がっています。
現在のパッケージは残念ながら簡略化されてしまいましたが、以前は京屋のオリジナルのうずまきパンのロゴが入ったパッケージを使用していました。

[うず巻パン] (有)富士製菓製パン
L115 / W135 / H28mm 108g 105円
[小麦粉・砂糖・食塩・イースト・卵・イーストフード・VC・乳化剤・脱脂粉乳・植物油脂・カロチン色素・マーガリン・香料]
宮古島市平良字西里1135-1  0980-72-2541

うずまきパン以外にも、多彩なパンを島に届けている島内最大手のパンメーカーの富士パン(愛知県に本社のあるフジパン株式会社とは関連ありません)。パッケージには「ひらたく焼いた生地にクリームをぬり、くるくる巻いてカットした甘いパン」のコピー文が添えられており、見事にうずまきパンを体現しています。
平焼きされたパンは外側の形状がフラットで、焼き型の跡と思われるポチポチが特徴的。甘いクリームは渦の中へゆくほどたっぷり塗られており、うずまきパン特有のジャリジャリ感はやや少な目です。

[ココアうず巻き] (有)富士製菓製パン
L107 / W163 / H33mm 116g 105円
[小麦粉・砂糖・卵・脱脂粉乳・食塩・乳化剤・香料・ショートニング・イースト・イーストフード・ココア・マーガリン]

うずまきパンのバリエーションとして発売された、ココア風味のパン生地で巻いたココアうず巻きは、富士パンのスタンダードなうずまきとは異なり、波型のパンを使用しています。クリームはスタンダードと同じと思われますが、パンがココア風味となっているので、ひと味違ったうずまきパンが楽しめる意欲作だと感じます。
すでに宮古島の名物として認知されているうずまきパンですから、クリームやパン生地に島の特産を加えた、お土産パン的なうずまきパンが生まれたら面白いかも知れません。
ちなみに、カットする前の巨大なうずまきパンを、空港などで土産物としてすでに販売しています。


[うず巻きパン] 太洋製菓製パン
L120 / W150 / H30mm 138g 100円
[小麦粉・砂糖・マーガリン・卵・イースト・乳製品・食塩・イーストフード・香料・バタークリーム・乳化剤・保存料(プロピオン酸ca)]
宮古島市平良字下里143 0980-72-2136

富士パンと同じように「甘いバタークリームをぬってくるくる巻いた菓子パンです」と、こちらもキャッチコピーが記されています。社名は「大洋」ではなく「太洋」が正しく、市中のスーパーはもとより、集落の商店などにも強い販路を持っています。
ややしっとりとした平焼きのパンを使用しており、渦というよりは「の」字のようにも見えます。クリームは甘さが強めでジャリジャリ感も強く、うずまきパンのイメージとして流れている、「とても甘くジャリジャリ」という噂そのままといった感じのうずまきパンです。旧パッケージはローカルな雰囲気にあふれていて、画像ではちょっと判りづらいですが、ピンクのロゴの左に「UZUMAKI」と白抜きのローマ字が書かれています。

[うず巻] サンメリー
L125 / W140 / H23mm 110g 105円
[小麦粉・砂糖・塩・玉子・クリームホワイト・マーガリン]
宮古島市平良字西里261 0980-78-9597

製品ラベルに無添加をうたっている、唯一のうずまきパンで、ここまで紹介したような製パンメーカーではなく、恐らく島のベーカリーとして、初めてうずまきパンを販売したパン屋さんです(近年は店舗販売よりも製品の卸販売を進めており、第四のメーカーに発展する可能性もあります)。
とてもやわらかく食感の軽い波型のパンで巻いているため、全体的に整形が素晴らしく、渦の形がとてもきれいな螺旋を描いています。
ただ、波型の山を深くとっているので、生地の薄い部分が切れやすくなっています。また、甘さ控えめのクリームは思いのほか濃厚で、特有のジャリジャリ感がほとんどありません(粒子が細かい)。
ある意味、うずまきパン初心者には食べやすいかもしれません。ココストアを中心に販売されています。

[うずまきパン] 焼きたてパンの店 樹ノアール
L115 / W150 / H33mm 118g 105円
[小麦粉・卵・塩・イースト・マーガリン・ショートニング]
宮古島市久貝903-4 0980-73-1755

初めて「樹ノアール(じゅのあーる)」のうずまきパンに出合った時は、慟哭したいほどの衝撃でした。2005年頃に廃業した大和パン(勿論、うずまきパンを作っていました)もあるほどの飽和状態と思われる、うずまきパン業界?への新規参入は、そうそうないだろうと考えていた近年、サンメリーに続き街のパン屋さんがうずまきパンを作り出したのですから! 。
富士パンに似た平焼きのパンは、中はやわらかく外側にはほどよい弾力性があり、クリームはすっきりとした甘さでありながら、ジャリジャリ感は強めに仕上がっています。後発だけにうずまきパンの研究をされているようで完成度は高めです。
ただ、販売規模は小さくレア度も高いため、現在、第一発見現場であるコープ下地店でのみ、その存在を確認しています(樹ノアールは店舗でのパンの販売も行っています)。

[うず巻きパン] 渡久山製パン
L135 / W150 / H26mm 132g 120円
[砂糖・食塩・イースト・小麦粉・ショートニング・卵・バター]
宮古島市伊良部字佐和田1500 0980-78-3006

伊良部島のうずまきといえば、まるそうのうずまきサンドがあまりにも有名ですが、伊良部島だけでしか買うことの出来ない、限定のうずまきパンがあります。泡盛「豊年」の酒造元、渡久山酒造の系列あたる、渡久山のうずまきパンです。
外側はパリッと硬めの平焼きですが、中はふんわりとやわらかな食感は食べやすいパンに、ジャリジャリ感がしっかりとしたクリームがふんだんに使われています。そのクリームの使用量といったら、尋常な量ではありません。特に中心部は上手に食べないと、クリームが塊となって崩壊してしまうほど、これでもかとうずまきに巻かれています。
確実に入手する場合は、伊良部島の佐良浜にあるサンマリンターミナル(高速船・フェリー乗場)の売店がお勧めです。


宮古で生まれたうずまきパンは、その支持を島外へも広げ、本島の大手パンメーカーなどからも発売されていますが、決して人口が多くはない島で、これだけのたくさんのうずまきパンが存在していることからも、いかに島の人たちから愛されているパンなのかがよく伺えます。

終わりに。
そんなうずまきパンをブラッシュアップして、スイーツに仕立ててしまったお店をご紹介しておきます。西里通りにある居酒屋Kateraでは、アイスとチョコレートソースでデコレート!もう素敵すぎます。
実はこれ、うずまきパンをフライパンで焼くだけで簡単に出来ちゃうのです。ショートニングを使ったクリームなら、油をひかずに弱火で両面をこんがり焼くだけ。溶けたクリームが飴色になってパンに染みて、いい感じに焼けたら出来上がり。あとはお好みでデコレートしてスイーツにしてもよし、そのままフレンチトースト気分でブランチにしてもイケます。ぜひ、こんな食べ方も一度お試しください。きっと、もっと、ずっと、うずまきパンの虜になってしまうはず!

(文+写真+編集:モリヤダイスケ)

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