ひらけ!絵本のとびら

あんちーかんちー編集室

2010年12月21日 09:00


2009年5月、「はじめまして絵本」プロジェクトが産声をあげ、第一回の絵本のお渡し会が昨年末に開催されました(栞初め)。あれから一年、今年もたくさんの子供たちに、素敵な絵本のプレゼントを届けることが出来ました。「はじめまして絵本」プロジェクト2010の絵本のお渡し会の様子をレポートしてみました。


このプロジェクトは子供たちが初めて手にする絵本を贈るブックスタートという活動。全国の実施自治体は745市区町村で、沖縄県内でも14の市町村が自治体の事業としてブックススタートを行っています(2010年9年30日現在)が、宮古島市では未だ事業化には至っておらず、市民発信のボランティア活動として行われているのが現状です。それでもたくさんの賛同者からの寄付を集め、子供たちへ送る絵本の購入資金として活用されました。今年は昨年を上回る197名の子供たちに贈られました(事前の申込で15種類の絵本から選ぶ形式)。

中央公民館大ホールで行われ絵本のお渡し会を前に、お楽しみのイベントも行われ、下地宮古島市長による紙芝居の読み聞かせという、初めての試みが行われました。
宮古島市で誕生する赤ちゃんは年間で5~600名ほど誕生するそうで、これらすべての子供たちに絵本を贈ったとしても一冊1000円以下がほとんどなので、予算としても70万円もあれば充分と試算されています。寄付金に頼るボランティア活動よりも、子供向けの施策としてしっかりと自治体が担うべきではないかと、宮古島市へのブックスタートの事業化を要請。即採用とまではいかないものの、事業化に向けて前向きな検討をするという回答を頂いてるそうです。

絵本を手にした子供たちはとても嬉しそうな笑顔が咲いていました。一番人気の絵本は「999ひきのきょうだい」で、この絵本の作者・木村研氏のサイン本。しかも、絵本の応募者の名前入りという豪華なサプライズ付き(理由はコチラ)。
「はじめまして絵本」プロジェクトの趣旨に賛同し、応援してくれた人たちの思いを、子供たちが初めて手にする絵本に託して届けることができたようで、子どもたちが本に触れるきっかけづくりの輪が、またひとつ大きく広がりました。

[「はじめまして絵本」プロジェクト2010]
期日 2010年12月18日(土) 15時~
場所 宮古島市中央公民館
Blog http://hajimemashiteehon.ti-da.net/

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惜愛への続き~

「はじめまして絵本」プロジェクトをスタートするきっかけのひとつでもある、旧・宮古島市立平良図書館(元・宮古琉米文化会館)は琉球政府時代に建てられたこの建物で、名前と役割を少しずつ変えながらも文化というキーワードを通して、たくさんの市民に長い間親しまれ続けてきました。島に残るこの数少ない貴重な近代文化遺産は、老朽化から今年5月末をもって図書館としての役割を終え、年明けにも取り壊されるかもしれないという動きに対して、「旧・宮古島市立図書館の活用を考える会」から宮古島市に、保存保護のため登録有形文化財とするように要請がさなれました。
その時代を感じさせる建物の造りもさることながら、前庭の雰囲気もとても素晴らしい趣きがあります。新しいことが良いものだという観光資源開発ばかりでなく、ハードにしろソフトにしろ先人の叡智が生み出したを残し伝えることも必要ではないでしょうか。特に近代に形作られた文化は見過ごされがちな宮古島にとっては、その象徴となりえる建物であり、かつて琉米文化会館が行って来た文化活動も含めて残して欲しいと思うのです。

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[資料]
「はじめまして絵本」プロジェクト2010
特定非営利活動法人(NPO)ブックスタート
旧宮古島市立図書館(旧文化会館)を登録有形文化財へ要請島の図書館に行こう!
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(文+写真+編集:モリヤダイスケ 協力:「はじめまして絵本」プロジェクト2010)
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