2006年から地域名をつけたナンバープレートが認められ、地域の振興や観光のイメージアップとして全国各地に、いわゆる『ご当地ナンバー』が登場して、「富士山」ナンバーなど大きな話題となりました。
残念ながら沖縄県は県全域が単一の『沖縄』ナンバーなので、島ごとにナンバープレートが違う(125cc以下の2輪車などの市町村ナンバーとは別にして)ということはないのですが、車社会の沖縄には実にたくさんの車が走っています。
沖縄総合事務局陸運事務所が公開している「業務概況」平成20年版によると、沖縄県全域のすべての四輪車は、906,669台が登録されています。そのうち宮古島には39,847台の車が登録されています(陸運事務所管轄の125cc超の自動二輪を除く)。これにくわえて『沖縄』ナンバーではない、内地から島へとやって来た他県ナンバーの車たちが、島の中には意外とたくさん走っています。そこでこのナンバープレートを「あんちーかんちー」流にスポットをあててみました。
日本で使用されているナンバープレートは、新たに登場した19種類の『ご当地ナンバー』を含め、106種類のナンバー(管轄地名)があります。宮古島を管轄する沖縄ナンバーを除いて、どれだけ別地域のナンバーを見つけられるか、島の中を探索してみました。まずはその結果から・・・。
北は北海道から南は鹿児島まで、結構な数を「発見」することが出来ました。画像を撮れたものだけでも24種類もあり、「千葉」「八王子」「大阪」なども見かけました。予想よりもたくさんあったことに驚きです。ちなみに「伊豆」「倉敷」のふたつは、ご当地ナンバーとして新たに追加されたナンバーです。
※ナンバープレートは個人を特定できる恐れがあるため、画像の一部をマスクしてあります。
ナンバープレートとひとまとめに呼んでいますが、正式には普通自動車以上の登録車は「自動車登録番号標」。軽自動車や自動二輪車などは「車両番号標」と呼びます。
通常、ナンバープレートを管轄する陸運事務所は、1事務所1ナンバー名(ご当地ナンバーの登場によ
り原則は崩れています)となるのですが、沖縄ナンバーは「長崎」「鹿児島」と並び、全国的にも珍しい離島に陸運事務所がある、複数事務所1ナンバー名になっています。長崎は対馬の厳原事務所、鹿児島は奄美の大島事務所が置かれていますが、離島県の沖縄では宮古と八重山のそれぞれに陸運事務所があり、全国で唯一となる3事務所1ナンバーとなっています(陸運事務所は各地方運輸局下の組織ですが、沖縄県は内閣府傘下の沖縄総合事務局管轄の運輸部に所属しています)。
そこになにがあるのかというと、そもそもの1事務所1ナンバー名に準じた、宮古島が「沖縄」ナンバーの中に隠されているのでした。
秘密に迫る前に、軽く沖縄ナンバーの歴史を紹介しておきます。
現行のナンバープレートは復帰年の1972年に「沖 5」のひと文字+ひと桁で始まりました。その直後、全国的な登録車両の増加の流れから、わずか1年後の1973年に、本島地区の分類番号が2桁の「沖 55」に変更となります(先島地区の2桁化は、1976年施行)。
1988年には全国的に陸運事務所が増設したことから、地名表記が「沖縄 55」のフル表示化を実施。更新が進んだ現在でも、まだまだ多く見られるナンバープレートが登場しました。
一度使用されたナンバーは再使用されないため、都市部でナンバリングの不足が生じてきたことに伴い、1998年に分類番号の3桁化(先行実施区域)され「沖縄 500」が始まり、現在に至ります(先島地区は一年後の1999年にスタート)。
さて、いよいよ宮古島ナンバーの秘密です。まず普通車と軽自動車に大別され、さらに分類番号の2桁時代以前と3桁時代でも異なります。なかなか複雑なルールがあるナンバープレートなので、出来るだけ判り易くざっくりと解説してみました。
◆普通車自家用 2桁以前
ずばり、ナンバープレートのひらがなに隠されています。自家用に使われるひらがなは、「さすせそたちつてとなにぬねのはひふほまみむめもやゆらりるろ」があり、通常は「さ」から順に使われています。宮古島で登録されたナンバーを区別するために、宮古島には「り」が割り当てられているので、「り」以外のひらがなのナンバーは、島の外で登録されてた車になります。なぜ「り」なのかはスバリ解明できませんでしたが、なんとなく離島の「り」なのではないかと想像してしまいました(八重山は「ろ」を充当)。
◆普通車自家用 3桁
分類番号は0~9まであり、自家用、営業用、乗車定員別、特殊用途などなど車両の用途によって、さまざまに分類されていますが、3桁化したことで組み合わせが増え、離島区分の割り当てがひらがなから分類番号に移りました。宮古島ナンバーは「X27」の下2桁となり、5ナンバー(普通車)なら「527」と表示されます(八重山は「X28」を充当)。
◆軽自動車自家用 2桁
古くは軽自動車のナンバープレートは、普通車と同じ白と緑の小型板でしたが、1975年に現行の黄色と黒の中型板に変更され、地名は改訂時から「沖縄」とフル表示なので「沖」表記のものは存在しません。また、分類番号も1桁の時代は、旧式ナンバー(緑と白の小型板)にあたるため、現行の中型板には2桁からしかありません。
離島区分は普通車同様にひらがなで区別されていますが、宮古島ナンバーには普通車の区分だった「り」から、ひとつ進んでなぜか「る」があてられています。このずれがちょっとややこしさを増しています(八重山に至っては「ゆ」に逆戻りしています)。
◆軽自動車自家用 3桁
3桁化されても軽自動車の分類番号は本島・離島の区分はなく、基本的に「580」が使用され、従来通
り離島区分はひらがなが使われているのですが、宮古は新たに「も」が指定(予備として「や」も用意されています)されましたが、なぜか八重山には2桁時と同様の「ゆ」が使われています(予備は「よ」)。島外なのでこの点ははっきりしませんが、もしかすると八重山には同一ひらがなと一連番号で2桁(50)と3桁(580)というナンバーが存在しているかもしれません。誰か石垣で探してみて下さい。
自家用車だけを中心に取り上げてみましたが、これに事業用などを説明すると、もっと複雑になるので今回は割愛します。ただ、宮古島に本島や八重山からやって来た車であっても、「沖縄」という同一管轄名なので、現在は書類上の登録だけで、プレートの変更は行われないため、初期登録地というが妥当な表記であることも書き添えておきます。
「宮古島ナンバーまとめ」
普通車自家用→「り」か「X27」
軽自動車自家用→「る」か「も」
これが知られざる「ご当地」宮古島ナンバー(自家用)の秘密なのですが、ちょっと難解でしたね・・・。
今回の調査取材で分類番号の3桁化によって、より複雑になっていることがはっきりしました。レンタカー登録率の高い地域はレンタカー符号の「わ」に加え、軽自動車の分類番号に離島用(宮古「595」、八重山、「596」)が指定されていたり、離島では取得料金が高く、あまり利用されていないそうですが、希望ナンバー制の導入による、いわゆる語呂合わせナンバー(「・・・1」や「7777」など抽選対象の13種類を除く)の軽自動車の分類番号「583」から符番されるなど、瞬時に宮古島ナンバーを判別することが厳しくなっています。でも、それはある意味マニア魂を揺さぶる、知っていればニヤリと楽しめるようになりました(画像の「・633」は何の語呂合わせでしょうか?)。
終わりに。
今回ナンバープレートを追いかけて来て、市町村単位で発行されている原付バイクなどのナンバープ
レートに、こんな面白いブームがやってきていました。
愛媛県松山市(雲型)
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/shminzei/1180925_904.html
宮城県登米市(米型)
http://www.city.tome.miyagi.jp/oshirase/zei/komegata-9.1.html
長野県上田市(六文銭)
http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/ht/zeimu/20080529132356091.html
山梨県富士吉田市(富士山型。ご当地の富士山ナンバーとは別物)
http://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=2564
山形県東根市(さくらんぼ)
http://yamagata-np.jp/news/200901/08/kj_2009010800124.php
どれも市の名産やシンボルをナンバープレートにして、ご当地をアピールするアイデアで作られた面白い取り組みです。宮古島は陸続きではないので、原付に乗って他の地域に出向くことは少ないですが、島内でも那覇市登録の原付などを見かけるので、あったらちょっと楽しいかもしれません。
[ナンバープレートネタのオマケ]
気分だけでも「宮古島」文字入のナンバーを楽しんでみたいなら、コチラのナンバープレートジェネレーターで遊んでみてはいかが?(Blogにも貼れるそうです)。
http://byokan.net/num/
(文+写真+編集:モリヤダイスケ 協力:
沖縄総合事務局宮古運輸事務所+軽自動車検査協会沖縄事務所宮古分室)