空飛ぶ島サバ-宮古島の海びらき2010-

あんちーかんちー編集室

2010年04月06日 09:00


2010年4月4日。今年で32回目となる「宮古島の海びらき」が与那覇前浜で開催され、今年も宮古島に海の季節がやって来ました。朝方まで降っていた雨の影響もあって雲の厚い空模様に加え、南寄りの風が吹く波のやや高い、ベストとは云いがたいコンディションでのスタートとなりましたが、たくさんの観客がビーチに集まり年に一度の海びらきを楽しみました。

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海の安全を祈願するとともに、美しい宮古島の海を島内外に広く発信する「宮古島の海びらき」は、観光立島を目指す島を大きくアピールする恒例のイベント。神司の女性たちによって海に向け神妙な祈りが捧げられたあと、ミス宮古らによる「海ひらき宣言」が高らかに叫ばれ、今年もいよいよ宮古島の海が始まりました。
カウントダウンとともに、波しぶきをあげていっせいに海へと飛び込む子供たちは、大きな歓声をあげて水をかけあったりと大はしゃぎで今年最初の海を満喫します。
皆、Tシャツを着たまま海遊びに興じているのは、海が寒いからでも恥ずかしいからでもなく(一部にはあるかも)、島の習慣といったところ。盛夏の殺人的な日差しの中で夢中になって泳いだりしたら、日焼けでは済まない火傷状態になってしまうことへの予防策なので、これから長い夏に突入する宮古島を訪れて海あそびを楽しむ際は、島の知恵として覚えておいてください。
海ぴらきのスタートとなった11時の気象状況は、気温24.7度、84パーセント、南南東の風6m/sと、気温は昨年並み(昨年は24.3℃。最高気温は26.3℃)。前日までの寒さや朝まで降っていた雨の影響はデータ上ではあまりなく、風はあるものの海びらきを祝すように雲も薄れて、時折、日差しが降りそそぐように回復し、昼過ぎには26.8℃の最高気温をマークし、気づけば薄っすらと日焼けをしてしまいました。
初泳ぎを済ませた子供たちは、海びらきではお馴染みとなった「竜宮城」を模したゲートをくぐって、初泳ぎ証とお菓子をもらってまたまた大喜び。
初泳ぎに盛り上がる「宮古島の海びらき」では、他にもさまざまな催しが用意されていました。オープニングを飾った子供エイサーに、サプライズゲストのレギュラー(長期のテレビロケで宮古島の滞在中)を従えてのパニパニジュニアのミニライブ。漂着物を使って作る漂着物アート体験、ウナギと車エビのつかみ取り大会、もずくの収穫体験。シーカヤックとジェットスキーの体験搭乗。ひときわビーチを熱く盛り上げてくれたハーベスタのスペシャルライブなどなど盛りだくさんの内容でした。
海びらきのアトラクションの中で今年一番の注目は、なんといっても「ビーサン跳ばし大会」です。宮古島の海びらきでは2008年から「島ぞうりとばし大会」としてこれまでも開催されて来ましたが、今回、ビーサン協会の公認競技として世界デビューをすることになりました。
ビーチで島サバ(ビーチサンダル)をどれだけ遠くまで飛ばすことが出来るかというとても単純な競技なのですが、この「ビーサン跳ばし大会」は20年も前に神奈川県は茅ヶ崎で誕生した由緒ある競技で、きちっと大会公式ルールも定められ、世界選手権としても各地で開催されている大会なのです。
競技コートは幅5メートル、縦35メートルの長方形で縦方向に蹴り出します(左右に外れるとファール)。使用するビーサンは公平を期する為、サイズ・重さ・大きさのものを使用すること。競技カテゴリーは男子部門、女子部門、子供部門(小4以下)など、細かく決められているのですが、これを紹介しているビーサン協会のHPではユニークなコート造りの説明がされています。
それはメジャーがなくても25センチのビーサンがあればコートの設営が出来るというもの。25センチのビーサンを基準として、横20ビーサン×縦140ビーサンと測れば完成する。これはまさしくビーチサンダルを単位とした「ビー算」に違いありません。
さて、「宮古島の海びらき」での競技の様子ですが、エントリー数が多いので予選をカテゴリーごとに行います(カテゴリーごとにそれぞれ設定以上の距離を飛ばせれば予選通過)。思い思いのフォームで蹴りだした色とりどりの島サバが、与那覇前浜の白砂の上を飛び、一喜一憂する参加選手とともに会場は大盛り上がりしました。
大会MCとしてはるばる茅ヶ崎からいらした、ビーサン協会会長のビーサンがんちゃんによると、蹴り方のコツを掴んだ人は、総じて誰もそれを明かそうとしないのだそうですが、飛距離を出した島サバの飛び方を観察していると、ソール(足底面)が地面に対して90度傾いた向きで、クルクルと縦方向に回転させ、割と低い軌道で島サバを蹴りだすと良く飛んでいるよう思えました。
各カテゴリーとも10名ほどが予選を通過し、飛距離を競う本戦が始まりました。ビーサン飛ばしの公認最高記録は男子の部30.53メートル、女子の部20.69メートル、子供の部17.68メートル。これを超えればもちろん世界記録が誕生することになりますが、宮古島大会での最高記録は男子の部で21.80メートル、女子の部18.10メートル、子供の部14.55メートルと、成績としてはまずまずのようでしたが世界の壁を超えることはかないませんでした。
しかし、ただで終わらないのが宮古島。今年の女子の部で優勝を飾った新里梨香さんは、なんと昨年の「島ぞうりとばし大会」でも優勝し、二連覇を果たした島サバクイーンな女の子だったのです。これぞミラクルアイランド宮古島らしい素晴らしいエピソード。ぜひ、島サバ飛ばしの腕(足技か)を磨いて世界記録を目指して欲しいものです。
一年を通して島サバをはいている島だけに、手軽に誰もが楽しむことが出来る競技(ビーサン飛ばし大会にはチームで戦う、団体戦というカテゴリーもある)なので、本格的に普及させたら島サバが空を飛ぶ島として、観光客も一緒に楽しめてとても面白くなる気がしました。
大真面目に宮古島サバ飛ばし協会(MSFA)とか作っちゃいませんか(笑)。

[参考資料]
ビーサン協会(Beach Sandals Flyinggame Association)
[関連記事]
宮古島海びらき2009(昨年の模様)
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
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