GO!HEY!GO!HEY! 宮古島爬龍船競漕 2010

あんちーかんちー編集室

2010年06月22日 09:00


「ユッカヌヒ」と呼ばれる旧暦の五月四日を中心に、島内14ヶ所の港やビーチで開催された海人のお祭、「海神祭-かいじんさい-」。特に「ゴーヘイ!ゴーヘイ!」とかけ声にあわせて、勇壮な櫂さばきで速さを競い合う爬龍船競漕(ハーリー)は、海神祭の目玉として大いに盛り上がります。今年は宮古島の北部地区を中心にハーリーレポートリレーを慣行。何ヶ所廻れるでしょうか?(2009年の海神祭)

※     ※     ※     ※     ※

ハーリーは今からおよそ600年ほど前に、中国から琉球へと伝来したと云われ、向こう一年間の航海安全と大漁豊漁を祈願する海の伝統行事。長い伝統を誇る糸満ハーレーや、TV中継も行われる那覇ハーリー(新暦のゴールデンウイークに開催)のように、特に盛んな本島地区では華やかに大型イベントとして開催されるところもあるほど。
宮古では旧暦の五月四日にあたる、6月15日と前後の日曜に開催されました。
6月13日(日) 浦底(城辺)・荷川取
6月15日(火) 池間・島尻・真謝(西原)・高野・パイナガマビーチ(平良/布干堂)・久松・来間・佐良浜(伊良部)・佐和田の浜(伊良部島)
6月20日(日) 狩俣・大神
6月末日予定 宮国(上野)

◆荷川取漁港(主催:荷川取船主組合)
まずは、ひとあし早く6月13日に開催された荷川取の海神祭。会場の荷川取漁港の船揚場には所狭しとテントが張られ、たくさんの観客が見守る中、赤・青・黄の三艘のハーリー船がしのぎを削っています。ここ荷川取のハーリーは場所柄、“字”対抗戦ではなく一般の職域やグループのトーナメントで争われます(14チームが出漕、字会も含まれています)。
荷川取漁港の防波堤内にコース(ブイを廻って往復)が設定されているので、距離はわりと短めですが、練習量の差がレースにも現れているようで、よろよろと蛇行するチームもあり笑いを誘うこともしばしば。

◆真謝漁港(主催:西原自治会)

日付がかわって「ユッカヌヒ」の6月15日。この日は島内9ヶ所でハーリーがいっぺんに開催されともあり、ハーリー三昧をして見ることに。まずは西原(西辺・福山・大浦)のハーリーが行われる北海岸の真謝漁港へ。
コースは漁港の隣接した浜辺からスタートし、防波堤の沖に設置されたブイを廻って往復する、波のある外海(リーフ内)で東西南北の四艘で争われます。
浜辺から銅鑼の音が響く応援をうける中、転覆競漕が行われていました。ブイを廻ったところで一度、船をわざと転覆させ、再び船を起こしてゴールを目指す競技ですが、なかなかうまく船を起こせなかったり、艇内の水が残って船が重くなり船足が鈍るなど、漕ぐ早さだけでなく海人としての技量が問われるレースでもあります。

◆島尻漁港(主催:島尻自治会)

パーントゥの里としても有名な島尻のハーリーは、島尻漁港脇の築堤でアットホームな雰囲気の中で行われていました(漁港内は漁船が多く手狭なのと、大神島航路の発着があるため使用できない)。
出漕は二艘とちょっと少ないのですが、学校職員対PTAや、生年組の対決といった競いがいのある対戦カードが組まれており、地域を盛り上げる楽しさにあふれていました。また、漁港に停泊する漁船の多くに鮮やかな大漁旗が誇らしげに掲げられ、会場ではマグロやカツオの刺身が振舞われていました。

◆池間島水浜(池間漁協組合)

池間大橋を渡って漁業の盛んな池間島へ。おおむね海神祭は朝から午前中いっぱいまでの開催となるので、この日3ヶ所目となる池間島に到着した時は、もうハーリー競技は最終競漕のスタート直前となっていました(午後は角力大会が開催)。
最後の種目は一番盛り上がる転覆競漕。南に面した池間島の水浜は、夏至南風を思わせる強い風で運ばれてくる波が高く、コンディションはあまりよくありませんでしたが、浜辺に集まったたくさんの島の人々の声援を背に、青年会による転覆競漕がスタート。
白と黄と青の三艘が勢いよく漕ぎ出します。波間に揺れる沖のブイを廻ったところで、転覆させるとすばやく船を立て直し、船内から海水を書き出してチームワークよくリスタートします。櫂を漕ぎ競技に参加している青年会だけでなく、防波堤越しに戦況を見つめているオジィも昔の血が騒ぐようで、声を荒げて激励をしていました。池間島、やはり海人の島です。

◆パイナガマビーチ(布干堂船主組合)

池間島のハーリーを終えて市内へと向かいました。なにしろ同日中に島内9ヶ所で開催されているハーリーを、ひとつでも多くレポートしてみようという企画なので、急いでパイナガマビーチへ。
昼過ぎに到着したパイナガマビーチでは、決勝戦を前に平良中が参加する体験ハーリーが行われており、なれない手つきで一生懸命に櫂を漕いでいました。
男子の部は27チーム、女子の部は25チームが参加し、それぞれ予選を勝ち抜いた五艘が出場する決勝戦が始まりました。白熱したデットヒートの末、女子は高校生チームが、男子は自衛隊チームが優勝を飾りました。

爬龍船競漕~ハーリーの季節が終わると梅雨が明けるといわれています。その言葉どおり、今年の梅雨明けはハーリーが終わった4日後の6月19日でした。いよいよ宮古島にも本格的な夏のシーズンが到来となります。島の夏は今年も暑いぞ!。

[夏至南風] かーちばい:梅雨明けを告げ、盛夏の到来を知らせる南風。

[資料]
糸満市商工観光課 糸満ハーレー
[宮古島のハーリー:2009年レポート]
久松海神祭~五勇士の系譜
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
関連記事