Football Camp MIYAKO~横浜FC@宮古島キャンプ

あんちーかんちー編集室

2010年06月29日 09:00


「2010 FIFA ワールドカップ 南アフリカ大会」が6月11日に始まって、連日連夜のサッカー三昧で寝不足な方も多いのではないでしょうか。「SAMURAI BLUE」日本代表も2002年日韓大会以来の一次リーグを突破して決勝リーグに進出、さらに睡眠不足が加速することは間違いありません。
そんな世界中が南アフリカに注目してサッカーで盛り上がっている中、アジアの片隅、地球の大きさからすれば針の先ほどもないような南の島に、初めてプロサッカーチームがやって来ました。


ワールドカップの開催期間中はJリーグの公式戦が中断されることから、J2所属の横浜FCが宮古島でミニキャンプを張り、リーグ後半戦に向けて強化をはかるというもの。
スポーツアイランドと呼ばれている宮古島は、毎年2月に開催されているプロ野球 オリックスバファローズのキャンプをはじめ、実業団や大学などのさまざまなスポーツチームが、キャンプ・合宿がをおこなっていますが、Jリーグのチームがミニキャンプとはいえ、来島するのは初めてのこと。しかも、横浜FCには誰もが知っている、元・日本代表のキングカズこと三浦和良や、欧州でも活躍したこちらも元・日本代表の大黒将志が所属しており、間近でその勇姿を見れる楽しみがやって来ました。

練習場は平良前福多目的運動場(オリックスのキャンプやビアフェストでも使用されるグランド)。14日に宮古入りしたその日の午後から早速、練習を開始。島内で活動している子供たちのサッカークラブ(主に父母)と、宮古高校と宮古工業のサッカー部がボランティアとして協力されています。プロの技や動きを目の前で見ることが出来る願ってもないチャンスなので、張り切っていることでしょう。

練習はプロ野球のように朝から夕方前まで(大抵は全体練習と個人の守備や打撃の練習)長々とやることはなく、午前中と夕方前のおよそ2時間ずつ(日中は暑すぎて練習にならない?)。勝手にイメージしていただけなのですが、TVのスポーツニュースなどで見かける、ビブス(チーム分けするベスト状の上着)をつけてゲーム形式といったアクションの大きいものではなく、グループ単位でボールを使ってテクニックを磨く、サーキットトレーニングを繰り返していました。
短距離のドリブルとダッシュを繰り返したり、障害物を避けながらのシュートを打ったり、センタリングに上がったボールを頭であわせたり、蹴りだされたボールを奪い合うゲームのような練習など、細かくもそれぞれ技術を意識したトレーニングをしていました。

再びJ1昇格を目標にかがけでいる横浜FCですが(2007年に悲願の昇格を果たすも、わずか一年で降格)、J2第17節終了時点(6月13日 W杯中断前まで)で順位は19チーム中の15位(16試合6勝9敗1分 得失点差-2 勝点19)と現状は厳しい位置ですが、意気込みは強く、ここ宮古島でのミニキャンプから捲土重来を目指します。

今回のミニキャンプには、選手やコーチ、スタッフだけでなく、熱狂的な横浜FCサポーターが自費で宮古島ミニキャンプを視察?に来ていました。横浜FCはJリーグのオリジナル10でありながら、1999年1月1日の天皇杯の優勝を最後に消滅(マリノスとの合併)した、横浜フリューゲルスの“事件”を契機に誕生したチームだけに、愛のある激はを飛ばすサポーターのチームに対する熱い思いはひとしおであり、そんな素敵なサポーターを持つ横浜FCはとても幸せなチームです。

キャンプ最終日は地元高校のサッカー部との練習試合が行われました(30分×3)。エスコートキッズとともに入場し、スタジアムDJが前福運動場に響き、まるで公式戦のような雰囲気で、横浜FCと宮古高校Aチームとの第1試合がキックオフ。プロのテクニックに圧倒されっぱなしの高校生は、必死にボールにくらいつきグラウンドを走りまわりますが、瞬く間にゴールネットを揺らす横浜FCイレブン。30分間の夢のプロとの結果は3-0で完敗。

続く第2試合は宮古高校Bチーム。一対一の対決では時に勝ることもある高校チームが、中盤でボールを奪って攻めに転じるも、プロと高校生のフィジカルの違いは歴然で、あたりの強さに負けてあっさりボールを奪われてしまいます。そんな高校生チームは、どことなく体躯に勝る世界列強のチームに立ち向かう、日本代表を髣髴させる気がしたのは、格好よく見せたいと思う身贔屓でしょうか。2試合目のスコアも3-0で横浜FCの完勝。

最後の第3試合は宮古工業のサッカー部がピッチに登場しました。ゴールキックからの空中戦に果敢に挑んだり、ドリブルで攻め上がるところにスライディングで削りにいったりと、必死にチャレンジを見せるもテクニックと連携に軽々と翻弄され、3試合トータルしても高校生のシュートシーンは一度も訪れず、ジャイアントキリングは夢のまた夢でした(3試合目は2-0)。

相手は高校生なのでプロである横浜FCにとっては、練習相手にもならなかったもしれませんが、高校生の彼らにとってはかけがいのない体験となったことは間違いありません。だって、全国高校サッカー選手権で沖縄県代表の離島勢として、初めて全国大会に出場(第79回2000年)を果たしたのは宮古高校であり、2004年に上里一将(札幌)、2009年に上里琢文(京都)と、宮古島から2人もJリーガーを輩出しているのですから、今回の体験をした両校の中からまたまたJリーガーが、いやいや日本代表が現れるかもしれないのです。

それにしても横浜FCが宮古を離島してすぐの6月22日。FW・大黒将志がFC東京(J1)へ、レンタル移籍するとニュースにはびっくりさせられました。島ではチームメイトと共に練習していることよりも、グラウンドのまわりを黙々とランニングしている姿が多かったような気もしましたが、本人のBlogによると宮古島キャンプ中に色々と考えたと綴られており、宮古島の高い湿度と気温の中をひとり走りなから移籍を決断したのでしょう。
島での練習後にはファンのサインにも気軽に応じていたので、横浜FC所属のとして最後の大黒のサインとなったかも。尚、大黒は東京ヴェルディから横浜FCへレンタル移籍中だったので、FC東京へは転籍となるようですが、移籍市場ってなかなかシビアなんですね。

ワールドカップイヤーの今年、6月14日~19日のわずかな期間でしたが、島にプロのサッカーチームがやって来るというトピックスは、島のサッカー熱をより熱くするに十分な出来事でした。
今夜はいよいよ、2010 FIFA ワールドカップ 南アフリカ大会 決勝トーナメント、日本対パラグアイ戦です。さぁ、SAMURAI BLUEの勝利を祈って、遠く南アフリカのロフタス・ヴァースフェルド・スタジアムへ向けてエールを送りましょう!。

[関係資料]
横浜FC オフィシャルサイト
トレーニングキャンプin宮古島フォトアルバム      
横浜FCサポーター「BLU TIGRE YOKOHAMA」

(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
関連記事