ぶーうみ~宮古苧麻糸展示会

あんちーかんちー編集室

2010年11月30日 09:00


宮古島の有名な特産品といえば宮古上布が有名ですが、島実際に島でそれをなかなか目にする機会は多くありません。日常的に使われるものではなく、高価な高級品であるこもありますが、それを生み出す技術が危機に瀕していることもあげられます。そんな上布を支える技術の一端がそこにはありました。

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宮古上布で注目されるのは見た目に判りやすい織りです。確かに織る技術は素晴らしく、作品として商品として仕上げるところですから。でも、上布というものを知ってゆくと、上布を織るには糸が必要であり、その糸を作る人がいるということでした。
今回の展示会は、宮古苧麻績み保存会が主催する宮古苧麻糸展示会で、国選定保存技術に選定された苧麻績み(ぶーうみ)伝承事業として、宮古圏域の17カ所(平良5、下地6、上野2、城辺2、伊良部1、多良間1)の教室で苧麻績みを習っている研修生のみなさんの作品を集め、その成果を紹介されているのですが、苧麻から作り出される糸は本当に驚異的な細さをしてます。

糸の生成は簡単に説明すると、苧麻の茎から表皮を採り貝を使って繊維を削りだし、爪先で苧麻の繊維を裂いて糸を績みだします。さらに緯糸(ぬきいと)は、裂いた繊維の根元と先端とを撚り合わせ、結び目を作らずに繋いで作り、経糸(たていと)はきわめて細く裂いた2本の繊維を撚り繋いで作ります。ちなみに宮古上布を一反織り上げるのに必要な糸の長さはおよそ30キロだという。

展示会には糸績みを学ぶ研修生が績んだ糸が、教室ごとにたくさんの並べられていますが、微妙にその太さや色合いの印象が異なっていました。これは糸の元となる苧麻の品種や育成具合によってかわってくるのだそうで、経糸や緯糸それぞれに向いている品種があったり、苧麻が育つ土地や畑のによっても異なっており、最盛期の頃は糸の種類ごとに産地があったとも云われています。現在は苧麻そのものを生産する農家がほとんどおらず、作られる糸の総量も限られているので、より良い上布を織ることが厳しくなっているのだそうです。
つまるところ、畑で育てられた苧麻から績まれた糸で織られた宮古上布は、もっとも高価な農産物加工品なのかもしれません。

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「第三回 宮古苧麻糸展示会」
主催/宮古苧麻績み保存会
会期/2010年11月26日(金)~27日(土)
会場/下地公民館

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(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
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