2009年08月11日
クイチャーおと~り 第四便

敬虔な祈りの中から生まれ、古くから生活にも密着した、宮古島伝統の民族芸能「クイチャー」への思いや、クイチャーを通して映る島の文化や風景などを、宮古島特有の泡盛の飲み方「おとーり」を模して、リレー形式のエッセイでお届けする「クイチャーおと~り」。
第四便は「うむやすみゃあす・ん診療所」の竹井太さんです。
※ ※ ※
はじめまして。クイチャーフェスティバルのお手伝いの竹井こと「やぶ」です。
宮古に移住してきて9年になります。この間、自然をもねじ伏せてしまおうとする都会とは違い、ゆっくり豊かに時間が流れる宮古で、自然の胸元に抱かれ生活をする本来の生活感が妙に気に入り、それから宮古に首っ丈です。クイチャーもそのひとつ。入島当時、居酒屋さんに行くと、いつの間にかみんなが踊りはじめ「なんじゃこれ?」から、今ののめり込み関係がはじまりました。観光客の多くの方もおそらくいつの間にか踊り出している自分に気が付いたとき、宮古の魅力にとりつかれ、この「不思議な一体感」が宮古フリークを作り続けているのだと思います。踊っている人の顔を一度まじまじ見てみてください。そこには例外なく満面の笑みがあふれています。

【画像は、第四回クイチャーフェスティバル2005の様子】
クイチャーは声(クイ)を合わ(チャー)せてする雨乞いの踊りです。水の枯渇が生命のやりとりの最前線であった宮古では当時は真剣な踊りであったと想像します。
単純に見えるこの踊り、実は宮古の歴史を少し勉強してみるとその奥の深さにまたまた驚かされ「おそるべし宮古島」です。宮古では集落毎に言葉が違うのと同じように、クイチャーもまた集落毎で微妙にその踊り方が違い、優に200を越える踊り方があったようです。初めての方は是非、クイチャーフェスティバルで体験をしてみてください。
皆さんが多く体験するのは「漲水のクイチャー」です。これは私も踊れます。が・・・しかし、他地域の踊りは時に六拍子であったり七拍子であったり、その中に変調があったりして、真剣に真似をして踊ってみてもなかなか踊り切れません。是非、皆さんも挑戦してみてください。

年を重ねる毎にこの祭りの意味が自分の中で広がります。暁さん(クイチャーフェスティバル実行委員長)のいう「温故知新」 「大切なものは身近なところにある」という言葉の意味が、「古き良き伝統」に触れれば触れるほどその重さが増してきます。それはそのふれ合いを通して、いつの間にか忘れていた「何か」に自分自身で気づき、新たな発見と発展につなげるきっかけになることができるからでしょう。忙しすぎる生活はその場暮らし、おそらくその忙しさは今も昔も同じはず。
でも、私たちは今あふれる情報の中に翻弄され、いつかどこかで忘れ物をしているのだと思います。残念ですが私にも故郷がありますが、この地ほど思いを寄せるものではありません。都会では方向性が定まらない人が多すぎ、また情報が錯綜しすぎており、情報処理能力が乏しい私には、いつしか「誰かが仕組んだ生活」をよしとして生活もしていました。
宮古に住みこの土地独特の歴史を学び、宮古の命を育むこの伝統のクイチャーに触れたとき、思いをひとつにして運命共同体で生きる島の人たちの連帯感がとてもうらやましく、そのすばらしさがまたひとつ宮古の魅力に加わりました。都会ではこの「生きるための連帯感」が欠けているのです。

今年、ユネスコが絶滅危惧言語に宮古言葉を認定したことを皆さんご存じですか?。クイチャーを対象にしたそのような調査はありません。またクイチャーを公式に保存する動きは、この島にはまだまだ見かけられません。記憶を媒体とする伝統継承は、「肌で感じ心で通じる」がそのすばらしさです。
しかし、人が便利さと豊かさを取り違えてから伝統継承は危機に立ち、その崩壊スピードはとどまるところを知りません。
今一度皆さん、生きるスピードを少し緩めて周りを見直してみませんか?。クイチャーフェスティバルはそんな思いを伝えています。そんな中、タイミング良く今年初めてユネスコが「世界遺産」認定と並行して、その存続が将来危ぶまれる遺産に対して「未来遺産」の認定をはじめます。

この「クイチャーおと~り」をお読みの皆さん、皆さんの地域ではどのような活動がされていますか?。いつしか気付かぬうちに地域の大切なものが消えゆくとわかったとき・・・時すでに遅しでは済みません。少し地元の息吹に耳を傾けてみませんか?
いつしかその気持は地域を越え、かけがえのない我々の社会の未来を約束し、また森羅万象すべての失ってはいけないものに対して今気づくことで、未来を危ぶむ心配はなくなるはずです。ほら、そこにあなたの大切なもの、見えてきませんか?
さあ、皆さん。皆さんと今年も会場でお目にかかれることを楽しみにしております。是非、自分なりにクイをチャーして参加してくださいね。心よりお待ちしております。
それではこの辺で次に「クイチャーおとーり」繋ぎます。たんでぃがあたんでぃ。
『第八回 クイチャーフェスティバル 2009』
日時 2009年11月1日(日) ※毎年11月の第一日曜日
場所 カママ嶺公園多目的広場 地図はこちら
HP http://quicha.sakura.ne.jp/
Blog http://quichafestival.ti-da.net/
【メモ】
2006年(平成18年)12月:離島フェア実行委員会より「島おこし奨励賞」を受賞。
2007年(平成19年)3月:(財)地域活性化センターより「ふるさとイベント大賞奨励賞」を受賞。
※画像の団体名は参加当時のものです。
(制作+画像提供:クイチャーフェスティバル実行委員会 企画編集:モリヤダイスケ)
単純に見えるこの踊り、実は宮古の歴史を少し勉強してみるとその奥の深さにまたまた驚かされ「おそるべし宮古島」です。宮古では集落毎に言葉が違うのと同じように、クイチャーもまた集落毎で微妙にその踊り方が違い、優に200を越える踊り方があったようです。初めての方は是非、クイチャーフェスティバルで体験をしてみてください。
皆さんが多く体験するのは「漲水のクイチャー」です。これは私も踊れます。が・・・しかし、他地域の踊りは時に六拍子であったり七拍子であったり、その中に変調があったりして、真剣に真似をして踊ってみてもなかなか踊り切れません。是非、皆さんも挑戦してみてください。

年を重ねる毎にこの祭りの意味が自分の中で広がります。暁さん(クイチャーフェスティバル実行委員長)のいう「温故知新」 「大切なものは身近なところにある」という言葉の意味が、「古き良き伝統」に触れれば触れるほどその重さが増してきます。それはそのふれ合いを通して、いつの間にか忘れていた「何か」に自分自身で気づき、新たな発見と発展につなげるきっかけになることができるからでしょう。忙しすぎる生活はその場暮らし、おそらくその忙しさは今も昔も同じはず。
でも、私たちは今あふれる情報の中に翻弄され、いつかどこかで忘れ物をしているのだと思います。残念ですが私にも故郷がありますが、この地ほど思いを寄せるものではありません。都会では方向性が定まらない人が多すぎ、また情報が錯綜しすぎており、情報処理能力が乏しい私には、いつしか「誰かが仕組んだ生活」をよしとして生活もしていました。
宮古に住みこの土地独特の歴史を学び、宮古の命を育むこの伝統のクイチャーに触れたとき、思いをひとつにして運命共同体で生きる島の人たちの連帯感がとてもうらやましく、そのすばらしさがまたひとつ宮古の魅力に加わりました。都会ではこの「生きるための連帯感」が欠けているのです。

今年、ユネスコが絶滅危惧言語に宮古言葉を認定したことを皆さんご存じですか?。クイチャーを対象にしたそのような調査はありません。またクイチャーを公式に保存する動きは、この島にはまだまだ見かけられません。記憶を媒体とする伝統継承は、「肌で感じ心で通じる」がそのすばらしさです。
しかし、人が便利さと豊かさを取り違えてから伝統継承は危機に立ち、その崩壊スピードはとどまるところを知りません。
今一度皆さん、生きるスピードを少し緩めて周りを見直してみませんか?。クイチャーフェスティバルはそんな思いを伝えています。そんな中、タイミング良く今年初めてユネスコが「世界遺産」認定と並行して、その存続が将来危ぶまれる遺産に対して「未来遺産」の認定をはじめます。

この「クイチャーおと~り」をお読みの皆さん、皆さんの地域ではどのような活動がされていますか?。いつしか気付かぬうちに地域の大切なものが消えゆくとわかったとき・・・時すでに遅しでは済みません。少し地元の息吹に耳を傾けてみませんか?
いつしかその気持は地域を越え、かけがえのない我々の社会の未来を約束し、また森羅万象すべての失ってはいけないものに対して今気づくことで、未来を危ぶむ心配はなくなるはずです。ほら、そこにあなたの大切なもの、見えてきませんか?
さあ、皆さん。皆さんと今年も会場でお目にかかれることを楽しみにしております。是非、自分なりにクイをチャーして参加してくださいね。心よりお待ちしております。
それではこの辺で次に「クイチャーおとーり」繋ぎます。たんでぃがあたんでぃ。
※ ※ ※
『第八回 クイチャーフェスティバル 2009』
日時 2009年11月1日(日) ※毎年11月の第一日曜日
場所 カママ嶺公園多目的広場 地図はこちら
HP http://quicha.sakura.ne.jp/
Blog http://quichafestival.ti-da.net/
【メモ】
2006年(平成18年)12月:離島フェア実行委員会より「島おこし奨励賞」を受賞。
2007年(平成19年)3月:(財)地域活性化センターより「ふるさとイベント大賞奨励賞」を受賞。
※画像の団体名は参加当時のものです。
(制作+画像提供:クイチャーフェスティバル実行委員会 企画編集:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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