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2009年05月08日

島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館

島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館
宮古島市役所の隣に、趣きのある前庭を備え、ペンキの剥げた少し古びた二階建ての建物があります。現在は宮古島市立図書館として運営されているこの建物が今回のテーマです。ここには市立図書館の前身であり、宮古島で一番の流行と情報の発信地だった、宮古琉米文化会館が存在していた場所なのです。

島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館宮古琉米文化会館
[みやこりゅうべいぶんかかいかん:MIYAKO RYUKYU-AMERICA CULTURAL CENTER]
琉球列島米国民政府(後の沖縄県の基礎となる琉球政府の上部組織で、軍の意向に沿った政治を行わせるための命令機関)の情報教育部が直接管轄する、対沖縄政策としての宣撫工作を行うアメリカ型の文化施設で、名護市、石川市(現うるま市)、那覇市、石垣市、名瀬市(現鹿児島県奄美市)に設置されました。

島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館
1952年に木造瓦葺で最初の宮古琉米文化会館がこの地に建設されるも、1959年のサラ台風(第一宮古島台風:最低気圧905hPa、最大風速70m/sを記録した猛烈な台風)が島を襲い、甚大な被害をもたらし琉米文化会館も被災したため、1961年に現在の鉄筋コンクリート作りへと立て替えられて再建がなされます。
宮古琉米文化会館は政策上、宣撫工作の施設として建設されていますが、琉米文化の交流と沖縄住民の教養の研鑽向上や、レクレーションの場として、図書館事業と各種講座行事を催す、宮古における流行と情報の発信基地場として、うらやましいほどの活躍をしていました。
島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館宮古琉米文化会館の活動内容は大きく分けて、図書館事業の運営する図書館部と、レクリエーションを企画運営する行事部のふたつがありました。
所蔵してる図書の閲覧貸出を中心に、読書週間などの文化行事への協力支援や、島内各地へ出向いての移動図書館活動を行う図書館部と、英語講座(大人向けも子供向けも)、絵画教室、和裁、書道、園芸、合唱、宮古民謡、郷土史、レコードコンサート、ダンス、スポーツ大会など多種多様なレクレーション活動を催す行事部を、館長以下わずか12名のスタッフで、朝9時の開館から夜9時過ぎまで、さまざま文化活動を行っていました。

中でも移動図書館の活動はめざましく、夕方から地域の公民館へと出向き、単に本や雑誌を閲覧貸出たりするだけではなく、子供向けの紙芝居や読み聞かせに始まり、夜は映画の上映会を開くなど、琉米文化会館設備をそのまま移動させたような活動を、毎日のように島のどこかで開催していたというから驚かされます。
図書館のもつ文化教育と公民館のもつ社会教育をあわせた琉米文化会館の凄さは、スタッフの育成にも表れていて、アメリカや日本本土の大学への研修や留学も盛んに行われており、展開するプログラムの実効性を高めていました。
島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館そして琉米文化会館は、当時の日本国内の同様な施設に比べて高い水準の設備を誇り、島の人々にとっても単なる娯楽というだけでなく、知識欲を満たす島一番のハイカラな場所として、米軍占領下にあるの宣撫施設でありながら人気を博していました。
しかし、そんな琉米文化会館も本土復帰が決まり、復帰一年前の1971年6月30日をもってその幕を閉じることになります。
琉米文化会館の施設は日本政府が買取り、所在地の平良市へと無償で譲渡されますが、職員は同日をもって全員が解雇され、施設は南国の旺盛な草が生い茂り、その文化の灯はしばらく途絶えることとなります。三ヶ月後、ようやく琉米文化会館時代は学生たちも立ち寄る人気のスポットでもあったことから、平良市文化センターとして、市によって事業が再開されます。

ところが施設の受難と流転は、まだまだ続きます。1986年に平良市中央公民館が完成したことにより、業務を分割して平良市図書館として純図書館に運用規模を縮小(2004年に五市町村が合併して宮古島市が誕生)。
そして2008年には建物の老朽化(40年以上経過している)から、カママ嶺公園への新図書館建設の基本計画・建設計画が選定されます。ところが2009年の新市長(第二代宮古島市)の誕生によって、計画の白紙撤回が表明される事態となります。新図書館は合併特例債(より良い地域活性をはかるために利用できる特例債)を利用した建設計画が、ほぼ決定してただけに、震撼せざるを得ない事態でした。
図書館は単なる住民サービスではなく、行政運営にも欠かせない資料を提供する機関でもあり、地域文化の根幹ともなる知の財産を運用する施設であります。あわせて県立図書館宮古分館の閉鎖、市への移譲という問題もまた巻き起こっており、ある意味、琉米文化会館閉鎖時と同じような轍を踏みかけているともいえなくもない状況に、住民としては強い危機感を感じ得ずにはいられません。
特に論じられてはいませんが、改めて眺めてみた旧・宮古琉米文化会館の建物自体は、その雰囲気ある宮古島の近代遺産として高い価値があり、手を入れて観光資産として活かせば、場所柄も含め観光の核としての活用も充分あるのではないかとも感じました。
島一番のハイカラ情報発信地~宮古琉米文化会館今と時代や背景が異なるとはいえ、宮古琉米文化会館のような素敵な施設があったことは、うらやましくも思えました(このGW、市立図書館は3日から6日まで全休しています)。新しい図書館建設案の選定を契機に、ゆっくりではありますが夢のある図書館の文化活動の芽も生まれています(この5月から移動図書館が図書施設のない伊良部島へ渡る事業がスタート)。また、草の根の図書館活用の活動も進んでおり、島を担う次世代に残すべき地域文化から目が離せなくなっています。

長年、宮古琉米文化会に勤務し、その後、県立動図書館宮古分館の館長を勤め、現在は郷土史研究会会長の砂川幸夫さんから、当時の貴重なお話を伺うことが出来た幸せに感謝いたします。

※    ※    ※

■宮古島市立平良図書館(旧・宮古琉米文化会館)
 沖縄県宮古島市平良字西里218-2 地図はこちら
 開館時間  火〜金曜日 10:00~19:00(児童室18:00まで)
        土曜日 10:00~18:00
        日曜日 10:00~17:00
 休館日 毎週月曜日、祝祭日、年末年始、慰霊の日(6月23日)
       定期館内整理日(毎月第3木曜日)
       特別整理期間(その都度館内にて案内します)
 開館カレンダー(宮古島市HP内)
 図書館応援Blog 「島の図書館に行こう!」

(文+写真+編集:モリヤダイスケ)





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