2011年01月07日
reef sound -来間島歳時記- №010
離島の離島、来間島にも新しい年がやって来ました。新年一発目の“葉っぱのつぶやき”は、もちろん島のお正月の風景。さてさていったいどんなお正月を迎えているのでしょうか?
※ ※ ※ ※
新年あけましておめでとうございます!
今年も「来間島歳時記」並びに、「来間島の徳さんちの畑」をよろしくお願い申し上げます。
さてさて、やって来ました飛び跳ねる兎年の2011年。今年は例年にないピシーピシーな正月を迎えております。そして厚く垂れこんだグレーな雲の切れ間から、ようやく初日の出を拝む頃、島の公民館に設置されたスピーカーから突如、唸り初めます。
その声の主は来間の区長さんだったり、有志の島の青年だったり、ただのオジサンだったりします。これはなにかというと島の恒例の新春放送で、スピーカーを通して島の皆さんに新年のご挨拶を申し上げているのです。その内容は今年の豊富であったり、切々と語る演説であたったり、さまざまな蘊蓄であったりします。
凄まじい大音量で語られる公民館のスピーカーは、古いせいか少々ハウリング気味で、時折、キーンと耳を切り裂くような音を響かせながら降りそそいできます。農家という仕事柄、普段から夜更かしをしない私。前日の大晦日に紅白歌合戦をラストまで見るという、かなりの無謀な行為をしてしまった私にとっては、新年早々、寝不足の頭には強烈で鮮烈なパンチなのだ。
そしてこの放送で目覚めた青年たちはいそいそと集まり、朝も早くからスクラムを組んで家々を巡って正月を祝い、朝からオトーリをガンガンと回すのも島の正月のお約束の光景だ。
例外なく、砂川家の実家にも青年たちがフラフラとやって来る。すでに何件目なるのか、かなりろれつが怪しくなった青年達を温かく家に招き入れ、家主は喜びの酒を振る舞い、女たちは慌て刺身やらワーブニやらをテーブルに並べて新春の宴が始まる。
まず、家主が皿に盛っておいたマース(塩)を箸でひとつまみして、青年に舐めさせてから酒(泡盛)を一杯ずつ飲ませる。お祝いなどの席ではよく見られる儀式だ。これが一周したら宮古ならではのオトーリがスタートする。家主が正月の喜びを述べ酒をまわし、青年が今年の健康を祈りオトーリをまわす。そしてまた別の青年が豊作を祈りオトーリを回す。と、ひたすらにエンドレスで酒を飲むのだ。
ほろ酔いを通り越して上機嫌に仕上がった青年たちに、子どもらは群がってお年玉をねだる。島のお年玉の相場は千円。本土と比べたらかなり少額ではあるが、親戚が多いから用意する数、金額は半端ない。来間嫁の私でさえ毎年20人分近くのお年玉を用意するけれど、いつも足りずにポチ袋を買いに島のマッチャーへ走ります。
こんな風に島で新正月を祝うのは最近のこと。昔はやはり旧正月の方が盛大だったそうで、来間島でも昔ほどではないにしてろ今でも旧正月を祝っています。しかし、現代社会のスケジュールのしがらみもあって、昔ながらの旧正月をやれなくなった所が多くなっていますが、伊良部島の漁村などでは大漁旗を立てて、今でも新正月以上に旧正月を盛大に祝うそうですよ。しかも、旧正月にも子どもたちにお年玉をあげるらしいので、いやはや正月が二度もやって来ると大変です。
けど、島には正月がまだあるんです。新正月に続いて旧正月が終わったその15日後、となる旧暦の一月十六日に、ご先祖様のお正月といわれる後生(グソー)の正月と呼ばれる「十六日祭(じゅうるくにつさい)」という正月行事があります。「十六日祭」は正月というよりお墓参りの一種で、沖縄特有の大型の墓の前に一族が集まって、ピクニックさながらに、重箱やオードブルを広げて宴会を行います。
また、聞いたところによると、二十日正月云う、正月の終わりを告げる行事を行う地域もあるらしく、いったい全体、島では何回正月をやるんじゃあ?って感じですが、どの正月も親戚や兄弟たちの家族が集まって、賑やかにご馳走を食べて酒を飲み交わす。これが島の正月。いつもの我が家の正月の光景かな。ホント、こうやって毎年、変わらずに島でお正月を迎えられることは幸せなことですね。
昨年、コラムの執筆やテレビ出演など、私たちのことや来間島のことを皆様に知っていただけるようなご縁に恵まれ、楽しい一年を過ごさせていただきました。今年はどんな出会いがあるのか今からとても楽しみです!。
そして早いもので、私も島に来て12年目。今年は徳さんと二人で長年暖めてきた夢を、実現させたいと考えています。それは何かって?。それはまた追々、ゆっくりじっくり語っていきましょうね。それでは皆様にとっても、幸多き一年となりますよう、南の島よりお祈り申し上げます。
砂川葉子(すなかわようこ)
1975年生まれ 岐阜県出身。
2000年に宮古・来間島へ来島。縁あって農家の「嫁」となり、徳さん(ダンナ)、娘(4歳)、息子(2歳)の4人で力をあわせ、のんびり楽しく島に根付いた暮らしをしています。
徳さん(ダンナ)
生まれも育ちも来間島のダンナは、良くいえばマイペース。明日、地球が滅亡するっと世界中がパニックになっていても、ふらっとひとりで釣り(特にイカ釣りに熱中)に出かけてしまうような人。
「来間島・徳さんちのごうら畑」
http://kurimajima.web.fc2.com/
「来間島・徳さんちのごうら畑」 てぃーだBlog
http://kurimagoura.ti-da.net/
◆バックナンバーはコチラ
(文+写真:砂川葉子 編集+写真:モリヤダイスケ)
そしてこの放送で目覚めた青年たちはいそいそと集まり、朝も早くからスクラムを組んで家々を巡って正月を祝い、朝からオトーリをガンガンと回すのも島の正月のお約束の光景だ。
例外なく、砂川家の実家にも青年たちがフラフラとやって来る。すでに何件目なるのか、かなりろれつが怪しくなった青年達を温かく家に招き入れ、家主は喜びの酒を振る舞い、女たちは慌て刺身やらワーブニやらをテーブルに並べて新春の宴が始まる。
まず、家主が皿に盛っておいたマース(塩)を箸でひとつまみして、青年に舐めさせてから酒(泡盛)を一杯ずつ飲ませる。お祝いなどの席ではよく見られる儀式だ。これが一周したら宮古ならではのオトーリがスタートする。家主が正月の喜びを述べ酒をまわし、青年が今年の健康を祈りオトーリをまわす。そしてまた別の青年が豊作を祈りオトーリを回す。と、ひたすらにエンドレスで酒を飲むのだ。
ほろ酔いを通り越して上機嫌に仕上がった青年たちに、子どもらは群がってお年玉をねだる。島のお年玉の相場は千円。本土と比べたらかなり少額ではあるが、親戚が多いから用意する数、金額は半端ない。来間嫁の私でさえ毎年20人分近くのお年玉を用意するけれど、いつも足りずにポチ袋を買いに島のマッチャーへ走ります。
こんな風に島で新正月を祝うのは最近のこと。昔はやはり旧正月の方が盛大だったそうで、来間島でも昔ほどではないにしてろ今でも旧正月を祝っています。しかし、現代社会のスケジュールのしがらみもあって、昔ながらの旧正月をやれなくなった所が多くなっていますが、伊良部島の漁村などでは大漁旗を立てて、今でも新正月以上に旧正月を盛大に祝うそうですよ。しかも、旧正月にも子どもたちにお年玉をあげるらしいので、いやはや正月が二度もやって来ると大変です。
けど、島には正月がまだあるんです。新正月に続いて旧正月が終わったその15日後、となる旧暦の一月十六日に、ご先祖様のお正月といわれる後生(グソー)の正月と呼ばれる「十六日祭(じゅうるくにつさい)」という正月行事があります。「十六日祭」は正月というよりお墓参りの一種で、沖縄特有の大型の墓の前に一族が集まって、ピクニックさながらに、重箱やオードブルを広げて宴会を行います。
また、聞いたところによると、二十日正月云う、正月の終わりを告げる行事を行う地域もあるらしく、いったい全体、島では何回正月をやるんじゃあ?って感じですが、どの正月も親戚や兄弟たちの家族が集まって、賑やかにご馳走を食べて酒を飲み交わす。これが島の正月。いつもの我が家の正月の光景かな。ホント、こうやって毎年、変わらずに島でお正月を迎えられることは幸せなことですね。
昨年、コラムの執筆やテレビ出演など、私たちのことや来間島のことを皆様に知っていただけるようなご縁に恵まれ、楽しい一年を過ごさせていただきました。今年はどんな出会いがあるのか今からとても楽しみです!。
そして早いもので、私も島に来て12年目。今年は徳さんと二人で長年暖めてきた夢を、実現させたいと考えています。それは何かって?。それはまた追々、ゆっくりじっくり語っていきましょうね。それでは皆様にとっても、幸多き一年となりますよう、南の島よりお祈り申し上げます。
※ ※ ※ ※
砂川葉子(すなかわようこ)
1975年生まれ 岐阜県出身。
2000年に宮古・来間島へ来島。縁あって農家の「嫁」となり、徳さん(ダンナ)、娘(4歳)、息子(2歳)の4人で力をあわせ、のんびり楽しく島に根付いた暮らしをしています。
徳さん(ダンナ)
生まれも育ちも来間島のダンナは、良くいえばマイペース。明日、地球が滅亡するっと世界中がパニックになっていても、ふらっとひとりで釣り(特にイカ釣りに熱中)に出かけてしまうような人。
「来間島・徳さんちのごうら畑」
http://kurimajima.web.fc2.com/
「来間島・徳さんちのごうら畑」 てぃーだBlog
http://kurimagoura.ti-da.net/
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(文+写真:砂川葉子 編集+写真:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(1)
│来間島歳時記
この記事へのコメント
離島の離島、来間島の生活を綴る「来間島歳時記」、いつも楽しく拝見しています^^
旅行者では知りえない”素”の宮古島・来間島の生活・・・興味津々です。
これからも宜しくお願い致します。
旅行者では知りえない”素”の宮古島・来間島の生活・・・興味津々です。
これからも宜しくお願い致します。
Posted by 暖々 at 2011年01月10日 19:26