「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の五

あんちーかんちー編集室

2011年01月18日 09:00


は~いっ。立て続けにまたもやお逢いしましたね!。そうです。宮古島で超弩級のマニアックな話が読めると噂されている「とある宮古の巡検雑記~スクリブラー~」を懲りずにお届けいたします。やっぱり南国・宮古島の醍醐味といったら“潜って楽しむ”トコですから、島そのものに思いっきり潜ってみましょうか。隆起珊瑚礁という地質地形の特性から、宮古島の大地にはあっちこっちには穴があいているのです。そんな宮古島の穴を巡り廻る探検奇譚。

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前回までのあらすじ・・・。
宮古島の戦跡に探訪。島の大地に深く刻まれた傷跡にして戒めの彫刻。やや思いつきで戦穴-いくさあな-を巡る探検奇譚を初めてみたところ、予想以上にたくさんの穴があちこちにあり、思っていた以上に面白くなってしまったので、勢いだけでぐりぐりと綴っている探検奇譚 自由研究である。

「海軍第三一三設営隊陣地壕」
宮古島市熱帯植物園。大野山林に囲まれた宮古島市の観光施設(入場無料)である。正直なところ観光客でごったがえすこともなく、園内を会場としたイベントが開催される時以外は、自然を堪能出来る公園といったところ。開園から40年以上が経過し、さまざまな経緯を経て現在に至った園内には、多彩な植物が植えられている一方で、記念植樹木を初めとした記念碑や、記念花壇などもあちこちに設置されている(記念する内容は多岐に渡っていて、それを読み解くだけでもかなり面白いです)。

そんな中のひとつに「海軍 第三一三設営隊 慰霊碑」があります。そしてその奥に三つの戦穴が口を開けています。緩い斜面に掘られた壕はどれも同じような大きさで、ものすごく広いということはありませんが、当時はここがこの部隊の陣地壕だったようです。この第三一三設営隊は島内各地の特攻艇秘匿壕を掘った部隊(厳密には穴を掘っていたのは、駆りだされた地域住民だったようですが)で、島の戦穴の謎はこの部隊を紐解けば解明できそうです。
穴自体は植物園という環境から割と綺麗に保存されているようですが、まだまだこの界隈にはもっとたくさんの壕があるようなのです。そして今年は植物園をリニューアルして、ガーデンデザインランドスケープアーティスト石原和幸がプロデュースする「花の王国」へと改めるらしいので、戦跡(史跡)なんてものはきっとリスペクトされることもなく、ユンボでバンバン埋められてしまうのでしょうかね?。
どうやらこの石原氏が得意とするなのは英国式の庭園のようなので、お手並みには期待したいところですが、綿密な管理が前提となる英国式は野放図に生える続ける旺盛な南国の植物には向かない気がしする。ましてやこれまでいくつも公園を作っては野生に返し続けて来た自治体であるだけに心配の尽きないプロジェクトかもしれません。

「大浜特攻艇秘匿壕跡」

目の前に広がるのは前回も登場した巨大埋立地のトゥリバー。その西側を望むように位置するとても小さな漁港の脇、というより伊良部大橋の宮古詰の架橋工事現場入口といった方が判りやすい場所に秘匿壕はあります。壕そのものは現在は秘匿にはされておらず(秘匿の必要はないけど、自然と秘匿されて所が多い)、工事現場の出入りを監視する守衛詰所が壕の前に作られています。
秘匿壕はいくつかあるようなのですが、この詰所裏の壕以外はほぼ草木に埋れていたり、崩落しておいるため侵入することが困難ですが、ここの壕は特攻艇を運び出すレール跡(石のライン)が綺麗に残っており、史跡としても価値が高いように思われます。

大浜の秘匿壕は久貝地区の外れにあるのですが、ちょうど壕の掘られている岩場は宮古島に幾筋も東西に走る丘脈(この東西は磁北とは異なる東西平安名崎を軸とする宮古的な方角で、西里通りや下里通りと並行になっている)の末端なので、道沿いに長く続いた小さな崖地を作っており、特攻艇を隠す秘匿壕以外にも小さな穴が、集落のすぐそばまでいくつも並んでおり、不法投棄のゴミが溜まっていたりするものあれば、トタンで入口を塞いである穴があり、観察する楽しみをそそられます。

戦穴-いくさあな-編 第2回。今回は比較的保存状態のよい穴で、簡単に訪れることの出来る場所をチョイスしてみました(前回のコメントを頂いたりのんサンのリクエストで、内容を若干変更してみました)。まだ紹介しきれていない“穴”があるので、もう少しだけ戦跡シリーズを続けてみようかと思いますので、いま少しお付き合い下さい。

[海軍第三一三設営隊陣地壕]

[大浜特攻艇秘匿壕跡]

[バックナンバー]
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の一
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の二
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の三
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の四
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
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