とはいっても起点なので、その辺は少し押さえておきましょうね。国道390号線の起点となっているのは石垣島の中心街にある、石垣市美崎町の730(ナナサンマル)交差点です。このナナサンマルとは沖縄の本土復帰後、6年目の1978年7月30日午前6時に、車両の通行が右側通行から左側通行に全県域で変更された、歴史的な日付を記念して名づけられて、それを記念した記念碑も建てられています。ちなみに宮古島では熱帯植物園前にひっそりと建立されています(左右を入れかえるイベントパレードが行われた場所を記念したとも聞きます)。
[石垣市美咲町]
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起点の交差点。直進すると390号線バイパス区間となります。左折すると旧道で、市内の細い道をくねくねと空港入口まで別ルートで進みます(右が離島桟橋方面)。
[石垣市真栄里]
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旧道よりも南を通過するパイパス線はこのあたりがもっとも南に位置します。つまり、国道最南端箇所といえます(近隣には
日本最南端のコンビニ、ココストア石垣八島店もあります)。
[石垣市真栄里(空港入口)]
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国道390号線はここで右折。旧道が左手から合流し、直進すると石垣空港へ向かいます。このあと、しばらくはスーパーなどが立ち並ぶ新興の繁華街(日本最南端のマクドナルドもある)を通過り抜け、大浜、宮良、白浜へと
明和の大津波で大きな被害を受けた、郊外の比較的大きな集落を結んで行きます。
[石垣市盛山(新空港分岐)]
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新石垣空港の建設によって、国道の線形も大きく内陸を迂回するように変更されましたが、まだGoogle Mapには反映がされていませんでした(ストリートビューにマウスオンするとよく判ります)。
美しい眺望で名高い玉取崎を超えて、北側に取手のように細長く伸びた石垣島のもっとも細くなった伊原間で、国道390号線の石垣島区間は終わります。
同じ730交差点を起点とする県道79号線が、名蔵、川平湾、米原と国道とは逆に時計回りで島を結んで伊原間で再び合流(79号線も終点)し、島の最北部となる明石、平久保方面へ伸びる県道206号線の起点となる要所で、奇しくも伊原間はあの
久松五勇士が石垣島に上陸したとされる地点もあり、海上区間を経て宮古島の保良へと繋がります(尚、海上区間ですが船舶などの連絡は出ていません)。
◆那覇市編
宮古島の平良港から海上区間を経て、沖縄本島は那覇市通堂町へと上陸します。場所的には国場川の河口であり、フェリーの発着する場所なのでイメージ的にはどことなく繋がりますが、ここを発着するのは鹿児島航路のみ。そもそも先島航路は現在、休廃止中であり、運行当時も安謝の新港埠頭からの発着なので、海上区間の理屈としては合致しません(それでも交差点には
琉球海運の本社ビルがあります)。
石垣を起点とし那覇を終点とする国道390号線ですが、なぜかこの地は終点と記されています。恐らくは区間距離が短く、離島へ続いているイメージもないので、便宜的に起終点が逆転しているのでしょう。
そしてもうひとつ。
資料上では那覇の起点は通堂町となっているのですが、明治橋北詰からとまり大橋へ抜ける「沖縄ガス通り」が海側(
通堂町は沖縄ガス通りを挟んだ国場川沿いで、居住者はいない)と国道との間に大きく横たわり、交差点外側の那覇市西町からが実質的な管理区間となっているようで(交差点内の街灯は那覇港管理組合の管理)、舗装の境目(管理境界)がくっきりと見て取れました。ま、それもこれも那覇区間の総延長はわずかに600メートルしかないからではないしょうか。
[那覇市西町一丁目]
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起点から100メートル少々進むと、ひとつ目の「西」交差点に到着しました。国道はここで右折してます。尚、直進方向は「上之蔵大通り」「若狭大通り」と名前が変わりつつ、とまりんまで続く県道43号線。左はロワジールホテルの正面まで一直線です(市道)。
交差点の一角に交通安全を願って、キジムナーと一対の竜頭が石敢當とともに安置されていました(それと、あとで画像を見て気づいたのですが、ビルの壁面いっぱいに世界樹のような絵が描かれており、もっとよくチェックしておけばよかったです。どうやら世界樹ではなく枝珊瑚のようです)。
交通量がやや増えた周辺は、ホテルやマンションなど背の高い建物が多くなり、ビルの谷間に沈んで空が少し狭くなりましたが、「サンシャイン通り」という愛称がつけられていました。
やがて東町へと入ると、いよいよ長い旅路の終着点が見えてきました。沖縄県髄一の国道58号線、ゆいレール・旭橋駅前交差点です。
轟々と大河のごとく激しく車の流れる国道58号線も、このあたりは最末端に位置します(終点は明治橋。とはいえ、道路は繋がっているので流れが止まることはありませんが・・・)。
那覇市東町
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当初は思いつきだけでスタートしたこの企画も、意外な発見がなかなか楽しく、寄り道もいろいろとしてきましたが、どうにかこうにか日本最南端(&最西端)国道390号線のネタもようやく完結しました!。
[データ]
国道390号 総距離552キロ(陸上距離63キロ/海上距離489キロ)
起点:沖縄県石垣市美崎町 730交差点
終点:那覇市東町 旭橋交差点
[国道390号線を走ってみたシリーズ]
石垣編
那覇編
宮古編
日本最南端の国道を行く-Route 390- 前編
日本最南端の国道を行く-Route 390- 後編
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)