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「5分で判る宮古島のイマ!」、「来てみたくなる宮古島」を、あれやこれやと宮古島からお届けする 宮古島発信!WEBマガジン 『あんちー かんちー 』

2010年10月12日

島の本棚 -NIGHT OF GOLD- Vol.004

島の本棚 -NIGHT OF GOLD- Vol.004
沖縄・宮古島にこだわって、あれやこれやと島の面白さをなんやかんやと、WEBからお届けしている「あんちーかんちー」。狭くて広い宮古島を伝えるにはまだまだ足りません。そんな宮古島の大きな魅力を、「もっと知ってもらいたい」 「もっと好きになって欲しい」という想いからスタートした「島の本棚」。新刊既刊を問わず、宮古島を題材や舞台にした本を紹介する企画です。
今回はさまざまな角度の切り口でとらえた新旧の歴史本をテーマにしてみました。
「島の本棚~NIGHT OF GOLD」 ~活字が躍れば金色の闇は、叡智の泉に生まれ変わる。

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新版 宮古史伝
島の本棚 -NIGHT OF GOLD- Vol.004
神話の時代に始まり、島の頂点をめざす争乱の時代から、豊見親・大親の時代を経て、明治・大正の近代へと大河のごとく流れる島の歴史を、初めて通史としてきちんと体系化した古典的な入門書です。
著者は郷土史家の慶世村恒任(きよむらこうにん 1891-1929)。植物園の入口に顕彰碑も建てられている。郷土の誇るべき偉人のひとり。

初版刊行は実に1927年(尚、刊行の2年後、慶世村は37歳の若さで病没してしまいます)と古いものですが、島の歴史たどる中でこれを超える良書は未だなく、これまで幾度となく復刻されて来た書籍としての歴史も持っています。そしてこのほど旧字体や旧仮名遣いなどを、常用漢字や現代仮名遣いなどに改めて新版として30余年ぶりに復刊されました。
読みやすくなったとされていますが、それでも正直、内容が内容だけになかなか難しく、ライトノベルのように簡単とはいいがたい本です。けれど、腰を据えてじっくりと紐解きながら読み進めていくと、これまでなんとなく知っていた島の史実にこんな裏エピソードがあったのかなど、大河ドラマのようにドラマチックな展開が繰り広げられていて、とても面白くますます宮古島が面白くなる、そんな一冊。郷土史研究家を初め、島の歴史を知る入門書として高く評価され親しまれています。
※画像は旧版(左)と新版(右)

琉日戦争一六〇九 島津氏の琉球侵攻
島の本棚 -NIGHT OF GOLD- Vol.004
沖縄はかつて琉球という独立国でした。しかし、今から400年ほど前、薩摩藩の大名・島津氏に攻めこまれ征服され、後に日本へと呑みこまれてしまうこととなります。この本はそんな琉球の国家存亡の危機を、史実に基づいて大系的に構成した歴史ノンフィクション。基盤の脆弱な中継貿易に頼らざるを得ない国勢、海洋国家という小国ならではの狡猾な外交戦略、そんな琉球の国状のみならず、封建社会での島津氏の事情などにもしっかり触れられており、時に繊細に時にダイナミックに歴史ドラマが展開してゆきます。
時代は大航海時代の末期。海洋貿易国家として東南アジアに名を馳せ、日本、中国、東南アジア諸国の情勢の趨勢に翻弄されながらも、したたかに列強のはざまで生き抜いて来た琉球という国は、どことなく勝手な妄想を重ねるに、国というよりは貿易商社のような組織だったのではないだろうか。琉球侵攻は日本による敵対的TOBであり、買収され便利な子会社化とされてしまったようなイメージが湧いてしました(その後の琉球処分はきっと、本社への業績集約で子会社ごと本社事業部に組み込まれてしまった?)。

劇画 かがり火-ロベルトソン号救助物語
島の本棚 -NIGHT OF GOLD- Vol.004
「あんちーかんちー」では云わずと知れたあの物語。そう、ドイツ商船が宮古島の宮国沖で難破、遭難したことを題材にし例のお話です。しかもこの本は劇画なのです。歴史本はなかなか難しくてどうも・・・という方にはきっと手にしやすい本だと思います(セリフも現代語で、判りやすく脚色されています)。
話は船長のエドワルドらが中国を出港して嵐に遭うところから始まり、座礁したロベルトソン号から島民が一丸となって救出するところまでがドラマチックに描かれています。しかし、物語の中で荒れ狂う海へとサバニを漕いで助けに行く人たちを、男気にあふれた宮国の青年「カマ」が中心になって救助へ向かったと描かれていますが、史実では嵐で宮国に身を寄せていた佐良浜の漁師が中心となり、宮国の人たちと一緒に救助にあたっています(2005年に佐良浜港に建立された顕彰碑には8名の漁師の名が記されています)。
定かではありませんが恐らく執筆された当初(出版は1996年)は、この話はあまり知られていなかったのではないでしょうか。また、劇画に登場する青年「カマ」と云う名も、久松五勇士である松原の与那覇蒲と、久貝原の与那覇蒲(同姓同名のふたりは乗船する)の名前から、どことなくインスパイアされているような気がしました。この本でエドワルド船長の逢ってみませんか?。
[関連記事]
宮国優子の「思えば宮古」

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【書籍データ】
「新版 宮古史伝」
慶世村恒任 冨山房インターナショナル
発刊日 2008年12月
ISBN 978-4-902385-66-3 C3021
冨山房インターナショナル書籍情報

「琉日戦争一六〇九 島津氏の琉球侵攻」
上里隆史 ボーダーインク
発刊日 2009年12月
ISBN 978-4-89982-170-0
ボーダーインク書籍情報
[著者Blog]
目からウロコの琉球・沖縄史

「劇画 かがり火-ロベルトソン号救助物語」
作画/新里堅進 監修・発刊・出版/上野村役場企画調整課
発刊日 1996年
※ブックスきょうはんなど島内の書店にて販売しています。

◆バックナンバーはコチラ
(文:密牙古文化部 写真+編集:モリヤダイスケ)





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Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)島の本棚
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