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2011年01月25日

「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六

「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六
はいはい。やっぱりお逢いしましたね!。そうです。宮古島で最高にマニアックな話が読めるという噂を、自ら撒いている「とある宮古の巡検雑記~スクリブラー~」をお届けいたします。やっぱり南国・宮古島の醍醐味といったら“潜って楽しむ”ことですから、島そのものに思いっきり潜ってみましょうか。隆起珊瑚礁という地質地形の特性から、宮古島の大地にはあっちこっちには穴があいているのです。そんな宮古島の穴を巡り廻る探検奇譚。

※     ※     ※     ※

前回までのあらすじ・・・。
もはやこのネタだけで月産三回というのは、ちょっと過剰過ぎる配信数ですね(出欠大サービスということにしといてください)。地味だしつまらないですかね・・・ま、んなこといわずにお付き合い下さい。人の作りし大地に刻み込んだ傷跡にして、戒めの彫刻は島に数多存在するのです。それでは巡検雑記 第六回、戦穴-いくさあな-編 PART3のスタートです!。

「大嶽城跡公園のトーチカ」
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六

島のほぼ中央に位置する野原岳(大嶽:うぷだき)は、昔から宮古島の軍事拠点として利用されていました。歴史書を紐解いてみると、群雄割拠の14世紀にはすでに大嶽按司の居城でしたが、宮古統一に燃える与那原軍が大嶽城を急襲されて滅ぼされ(後に与那原軍は仲宗根豊見親に敗れる)たり、仲宗根豊見親の長男・仲屋金盛が嫉妬心から、金志川那喜太知を謀殺した舞台も大嶽城であったり(この事件により豊見親制度は廃止され、先島は完全に王府の直轄支配に組み込まれる結果)と、城(ぐすく)であり拠点でありました。そして現在も日本最南端の自衛隊基地として運用されています(南西航空警戒管制隊第53警戒隊)。
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六
そんな野原岳には大戦中には陸軍独立混成第59旅団の歩兵連隊が駐屯していました(旅団指令部は添道にあったようです)。この見晴らしのいい尾根からは中飛行場(宮古空港ではない戦時中に作られた飛行場)が見渡せたらしく、展望台の脇にトーチカが残されていました。とはいえ、穴として紹介するにはちょっと判りづらい四角い銃眼を観察することが出来ます(ほぼ草むらの岩なので注意していないと判りませんが・・・)。
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六
展望台の直下にある駐車場には、塹壕らしき丸い穴がありました。こちらの方が巡検雑記っぽいですね。このトーチカ(展望台)の下は岩山をベースにしたジャングルで、よくよく見ると塹壕らしき窪みをいくつか見つけました(落ち葉などが堆積しているのであくまでも予想です)。
気になって周囲を探索してみると御嶽の先に遊歩道が伸びていました。遊歩道をたどると展望台の南側の尾根に沿って三つ並ぶ、オブジェのような岩の庭?へと出ました。草をまとった石を眺めつつ尾根を登ると窓のないコンクリートの古っぽい建物を見つけ、思わず戦跡なのかと色めき立ったけど、建物から伸びる太いパイプでただの水利施設と判り、肩を落としかけたところで小さな墓石を発見(なんか遊歩道と同様に、感情も上り下りが激しい)。墓石には二名の兵士が宮古島で戦死したことが記されていました。
この他、展望台周辺は大嶽城の名残の石畳(少し離れたところに野原の霊石もあります)など史跡も残されており、地味ながらも見どころは色々とあるのです。

「ピンフ嶺野戦重火砲壕跡」
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六
平良西辺地区の福山集落の奥にあるピンフ嶺ファームポンドの下、通称・ピンフ嶺野戦重火砲壕跡。史跡入口に立つ教育委員会の立てた案内柱には「パナタガー嶺陸軍重火砲壕跡」と書かれている不一致の不思議。地名だけでなく重火砲のサイズも15センチだったり20サンチ(センチとサンチは基本的には英語と仏語の読みの違い)だったり、榴弾砲とか野戦砲と呼んでいてなかなかにあやふや。けれど、すでに砲はないので良いとしましょう(電波探知機基地もあったらしい)。
そんなことよりもここの素晴らしさは、足元の悪いジャングルを突き進んでゆくと姿をあらわす岩棚です。そそり立つ岩壁の下に大きな口を開けている岩の広間があり、端の方にはこうした場所にはお約束の御嶽がありました。広間の中央に鎮座する四角いコンクリ製の石の箱に向かって、奥の方から溝が作られています。雨水か岩の隙間から湧く水を集める者のようです(流れてはいないが箱の中は湿っている)。また、丸く繰り抜かれた天水桶も置かれていた(桶の真上を見ると琉球石灰岩が雨などで溶けて鍾乳化していた)。
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の六
御嶽の脇を抜けて設置れたロープを使って上り、さらにアップダウンの大きいジャングルの道を進むと、いよいよピンフ嶺の戦穴の入口に到着です。穴のサイズは大人が立って歩けるほどに大きく、床面は平らにならされています。穴は奥が深く真っ暗な闇がどこまでも続いています。この穴は連行された朝鮮人労働者によって掘られたものだと云われています(福山の子供たちも動員されたという話も)。そしてこの穴の先には・・・それは潜ってのお楽しみです。というか、素掘りの深い穴なので探検は自己責任でお願いしますね(爆)。

単純に勢いだけでスタートして、はからずも短期特集のような形となってしまった「とある宮古の巡検雑記~スクリブラー~ 戦穴編」はいかがでしたでしょうか?。まだまだ島に掘られた戦穴はあるのですが、モノがモノだけに複雑な事情もありますのでひとまずは完結。地形地理マニア的に新たな穴を求めて島を探検しますのでお楽しみに!。

[大嶽城跡公園のトーチカ]

[ピンフ嶺野戦重火砲壕跡]

[バックナンバー]
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の一
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の二
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の三
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の四
「宮古島を潜る」 とある宮古の巡検雑記 其の五
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)





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Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)かんちーな企画
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