2009年10月20日
佐良浜のミャークヅツ

宮古島の北西、伊良部島の東海岸にある佐良浜地区で、旧暦の八月または九月の甲午(きのえうま)から四日間に渡って開催される、「ミャークヅツ」が集落をあげて賑やかに行われました。
その賑わいは平良から臨時便が運航されるというほどで、ミャークヅツの催される四日間、佐良浜は祭り一色に染まります。

ミャークヅツも池間島からの分村によって伝えられた大切な祭事で、元来の形は「節祭」でスディ水(バガミズ=若水)を浴びて若返り、一年の健康を祈る節目の行事を集落をあげて盛大に祝うもの。また、そのルーツは伝承のひとつによると、ある夫婦の子供が病死してしまいお墓に埋葬をするも、もう一度我が子の顔がみたいと、墓を開けてみると子供はすでに腐乱して見る影もなくなっていた。どんなに可愛がっていても死んでしまえば終わり。生きている時だけが極楽なのだと悟り、現世をとことん楽しむための祭りとしてミャークヅツが始まったともいわれ、ミャークヅツの間は、仕事は休み。酒を呑み。踊りまくる。というなんとも楽しげなお祭りなのです。



池間添ジャーの中心に据えられている甕に満たされた泡盛は、よく見るとミルク酒(ワシミルク=コンデンスミルクで割った白く甘い泡盛)ではありません。隣の前里添や池間島のミャークヅツではミルク酒が使われていますが、池間添の泡盛は透明のままです。聞くところによると、ワシミルクの代わりに大量の砂糖が入っており、飽和状態寸前のねっとりとした泡盛なのだそうです(いずれにせよ甘いお酒には変わりはなく、ミャークヅツには必然のようです)。

クバ扇を手にしたツカサンマが独特の節回しで唄いながら、反時計回りに円を描きながら踊りの輪を作ります。後ろに続くウヤの男たちは拳を突き上げ、脚を鳴らして全身を使ってヒヤサッサと威勢良く踊り始めました。

やがて老いも若きもが代わる代わる踊りの輪へと加わり、一緒になってただただエンドレスに繰り返される踊りを繋いでゆきます。
本当に楽しげに唄い踊って酒を呑む。ただそれだけなのに「生きている時こそが極楽、この世を楽しむ」というミャークヅツの本懐にあふれた、誰もが自然と笑顔に満たされるお祭りでした。

集落の結束と一体感はとどまることを知らぬ熱狂のごとく、夜の帳が降りても佐良浜のミャークヅツはまだまだ続いてゆきます。
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ミャークヅツ(2008年池間島)
(文+写真+編集:モリヤダイスケ 取材協力:歴史文化ガイドの会)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(2)
│あんちーな特集
この記事へのコメント
こんなにわかりやすくUPして頂き有難うございます。
ナイチャーの上司に説明するのが楽になりました。
今年は楽しみの年です。
ナイチャーの上司に説明するのが楽になりました。
今年は楽しみの年です。
Posted by 辰年 at 2010年02月12日 16:12
辰年さん>
コメントありがとうございます。
お役に立てて光栄です。
今後ともご愛読よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
お役に立てて光栄です。
今後ともご愛読よろしくお願いいたします。
Posted by あんちーかんちー at 2010年02月13日 00:29