2010年04月27日
石庭力場-STONE GARDEN OF MIYAKO-

宮古島は「パワースポット」だとよく耳にしますが、信心深くもない半信半疑だからなのか、単純に典型的な左脳タイプだからなのか、パワースポットなるものを否定こそしていないものの、パワースポットというものに特別な想いを宿すことが出来ず、正直、癒しの島といわれる宮古島に暮らしていながら、これまでほとんど行ったことがありませんでした。
今回、初めて宮古島を訪れたイメージアーティスト“kana.”さんが、島のパワースポット巡りをすると聞きつけ、島でもパワースポットとして有名な「新城さんの石庭」へ行ってきました。
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まず最初に新城さんの石庭はついて簡単に触れておきましょう。この石庭はいわゆる名所旧跡といった観光地ではなく、新城さん個人が所有するお庭を善意で無料開放している場所に過ぎず、軽い観光気分でふらりと訪れることが出来る場所ではありません。ですが、島のパワースポットのひとつとして知られており、一部では聖地として高い人気を誇っています。


祭壇のようにサークルの正面にたたずむ石には、「天体と人間 才能無限大である 1981年5月8日」と新城さんのメッセージがありました。石をよく見ると大きな石がひとつあるのではなく、いくつかの石を不定形に積み上げて作られており、この庭の土中から人力のみで石を掘り出した、新城さんの五感が生み出したアートとも取れる気もします。kana.さんはサークルの中央に立って石から放たれるメッセージを読み取ろうとしているようでした。

「人間の知恵は井戸の中の泉のごとく湧きいずるものである 1984年1月15日」とメッセージの書かれた、壁状の石に手をかざしたkana.さんは、なにか石のエネルギーを感じているようでした。
石庭にあるおもだった石にはこうした新城さんのメッセージが書かれています。他にも「すべてのお祈りをまとめ通して下さい 1984年5月5日」とか、「天地を結び人類進化への道を開く 1985年5月15日」と記されていますが、どうも文字を読んでしまうとその言霊に囚われてしまい、石が放っているであろうメッセージとかエネルギーを素直に感じることが出来ません。それどころか庭園のあちこちに立ち並ぶ大きな石たちが、だんだん人のように見えてきて、なんか見つめられているような錯覚に陥ってきました。

峡路を進むと、三途の川のケルン(積み石の塔)のような雰囲気の小さな石群に迎えられ、足元には真新しい琉球石灰岩を砕石した砂利が敷き詰められ、奥へと誘っていました。
たどり着いた先は大きなガジュマルが脇で見守る月のサークルと呼ばれている庭でした。kana.さんいわく、なんか全体的に冷たいけど、地面に埋め込まれたこの石だけは暖かいと。確かにこれまで見てきたサークルに比べるとどこか未完成のような雰囲気で、kana.さんが踏んだ石だけは、なんとなく暖かく感じられました。
石庭の最深部にたどりつき、更に奥にも道らしきものがあるからと、進んでみると。ジャングルのような木々を伐採し、掘り出した石を並べ始めた工事中の庭が出てきました。どうやらここは未完成の場所だったようです。この日、新城さんご本人をお見かけすることはありませんでしたが、日々、新城さんの想いのままに石庭は成長を続けているようで、再び、峡路を抜けてもとの庭に戻ったあたりにも、石を掘り出しばかりの穴や土のついたスコップが転がっていました。

緑が萌える中にどっぷりと漬かって、屹立する不思議な石たちの世界にも慣れ、「石庭の世界樹」を過ぎたあたりで、ふと強い視線のようなもの左側から感じたので、思わず立ち止まって振り向いてみると、少し奥まったところにたたずむ、苔むした石がコチラをじっと見つめていました。確かにそれは石であり、単なる窪みでしかないのですが、それは明らかに目であり、顔でしかありませんでした。その石はどこか小さなモアイ像のような雰囲気もあり、思わず一礼とあいさつをせずには立ち去ることが出来ませんでした。石に見られているのではなく、この信心深くない異界の徒を観察、いや監視していたのかもしれません。

掘り出した穴を観察してみると、穴の一部に自然に折り重なっているとは思えない、石垣のように石積みしたと見える部分があり、また、掘り出した土砂を積み上げた小さな山には貝塚のように無数の貝類が混ざっていました。もしかしたらここはなにか遺跡だったのではないだろうか、という疑問がちょっと湧いてしまった。

そこはメインである石よりもたくさんの植物が生い茂る空間で、中でもマイナスイオンを発生させるトラノオ(サンスベリア)の群生はウエルカムをしているような心地さがあって、まさに石庭のホワイエともいうべき場所でした。
改めて出口へと進む石庭巡りの最後に見たのは、螺旋を描きながら天に向かって伸びるまるで龍のような形をした松でした。石が中心となっている新城さんの石庭であるにもかかわらず、どうも木や草などの植物にばかり目がゆき、逆に石から見られているような印象を覚えたあたりは、無能力者ではありますが本名の字面を考えると、もしかしたら自らの属性は「樹」なのではないかと、勝手にkana.さんのイメージアートに引っ掛けてファンタジックな感想を石庭から得てみました。
「新城さんの石庭」を体験したkana.さんの感想は、たくさんのパワーに満ちた不思議な雰囲気のするお庭でしたと、宮古島を代表するパワースポットにご満悦した様子でした。一方、不信心者としては訪れたこの日が、どんよりとした曇り空だったこともありますが、石庭全体のイメージはやや重々しい空気感で、どことなく神妙な空間を醸しているお庭に思えました。そして予想通り、特別にパワーとか癒し的なものとか、そういう何かを感じ取ることは出来ませんでした。けど、石庭に限らず少なくともこの島に意を持って暮らしている己にとっては、宮古島そのものが特別な場所と勝手に思っているで、人智を超えたパワーが判らなくても、それはそれでいいのではないかと・・・。

石庭は新城定吉さん個人が所有している庭園を、ご好意で見せていただいているものなので、新城さんへの感謝と近隣住民への配慮を心がけ、午前10時以降から夕方は明るい時間までに訪問することをお勧めします。
また、見学する際には、新城さん宅に見学させて欲しいことを、必ずごあいさつをしてから入園するようにし下さい(お宅と石庭入口はわずかに離れています)。
場所 沖縄県宮古島市平良字下里2309(地図)

京都府舞鶴市在住。イメージアーティスト。
Blog http://ameblo.jp/kanaart/
今回の宮古島の旅からインスパイアされた作品も展示される個展が開かれます。
「kana.個展 ~ひらめき世界~」
期日 2010年5月3日(月)~5月30日(日)
時間 月~土曜日 10:00~17:00
日曜・祝日 11:00~17:00
休展日 5日・15日・23日
会場 スタジオき(京都府与謝郡与謝野町字男山265 地図)
http://uedakentiku.co.jp/
【入場無料】
個展ではイベントとしてイメージアート(フルネームからのイメージアート)を、kana.さんに描いていただくことが出来ます(在廊日のみ)。
kana.在廊日 5月3日、4日、8日、9日、16日 22日、30日
[参考] パワースポット宮古島石庭
(文+写真+編集:モリヤダイスケ モデル協力:イメージアーティストkana.)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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