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2008年10月21日

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘
2008年10月8日は二十四節気のひとつ、寒露(かんろ)。コオロギが鳴き止み、菊が咲き始め、雁などの冬鳥が渡って来る季節。南国、宮古諸島にも本格的な秋の訪れを告げる、サシバがやって来ます。

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘サシバとは体長50センチ、翼長1メートルほどの中型の鷹で、夏場は中国の東北地方や、日本の本州以南の低山や丘陵地で繁殖し、秋になると群れをなして東南アジアや中国南部へと南下して越冬する渡り鳥。宮古諸島を訪れるサシバは、越冬地までの中継地のひとつとしてたくさんのサシバが羽を休めにやって来ます。

国内でのサシバの主な渡りのルートは、主に東北から中部地方の太平洋側で繁殖したサシバが集まることでも名高い、渥美半島の伊良湖畔(愛知県)から紀伊半島、淡路島、四国、豊後水道を経て、西日本の各地で過ごした群れも合流する、九州本土最南端の佐多岬(鹿児島県)へ。ここから北東の季節風に乗って、琉球弧の島々をつたいながら宮古諸島へとやって来ます。そして疲れを癒して再び、サシバは飛び立ち、さらに南の越冬地を目指して飛んで行きます。
サシバが飛べる1日の最長飛行距離は、約4~500キロ(飛行速度は約時速40キロ、一日の行動時間が12時間程度)だそうで、佐多岬から宮古島までは1200キロほどあることから、途中の島々でも集団で羽を休めていると考えられていますが、まだはっきりとは解明されていません(一説には佐多岬の南、400キロの徳之島が中継地といわれています)。
 

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘
南へ北へと渡りを繰り返すサシバも、盛んに叫ばれているさまざまな自然環境の変化を受けています。1973年から観測を続けている宮古野鳥の会によると、かつては4~5万羽のサシバが宮古諸島に飛来してたそうですが、近年は多い年でも2万羽程度までに減っており、絶滅の危険が増大している種として、遂に2006年には環境省のレッドリストへ掲載されました。
また、1972年の本土復帰に伴って、鳥獣保護法が適用されることとなり、宮古では古くから秋冬のタンパク源として、タカジューシーなどにして食していたサシバの食文化があり、サシバを獲ることが出来なくなりました。いつの頃からサシバが食されていたかは定かではないものの、1637年に定められた悪名高い人頭税で苦しめられていた島の人々の栄養源として、サシバが食されるようになったいう説もあり、宮古ならではの問題点もありました。
保護鳥に制定された以降も、サシバの密猟が密かに行われており、1977年から毎年10月を沖縄県はサシバ保護月間として定め、サシバの保護を訴え、密猟パトロールの努力を続け、密猟は根絶されたと思われた矢先の2002年に、伊良部島でツギャ(囮のサシバを使って捕獲する密猟小屋)が発見される事件もあったほど、宮古とサシバとは深いつながりを持っています(密猟は一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられます)。

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘
寒露を迎え、宮古諸島にサシバのシーズンがやってきました。宮古諸島最大のサシバ飛来地は伊良部島ですが、宮古島でもたくさんのサシバを見ることが出来ます。宮古野鳥の会が主催する、サシバ観察会が開かれたので参加してみました。
観察会の場所は、夕陽ヶ丘と名づけられた久松の海を臨む夕陽の名所(地図はこちら)。実は、眼下にたくさんのお墓が並ぶ松原墓地団地の丘の上。墓地団地ではなんとなく語呂がよくないと、宮古野鳥の会が夕陽ヶ丘と命名したそうです。
16時、観察開始。まだ空にサシバの影はなく、三々五々観察会に集まった皆さんに、野帳の会方がサシバについての説明をしてくれました。
もっと南の越冬地へと渡っていくサシバは、島で一日から数日ほど滞在して英気を養うそうですが、サシバ一羽にあたりに必要な餌場はかなり広く、年を追うごとに開発の進んでいる島の環境の悪化と自然の保護の狭間で、飛来数は一進一退を続けているいるそうですが、今年は昨年の総計を上回る飛来数になっているとのこと。

サシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘
やがて、双眼鏡で観察していたひとりが「いた!」っと声をあげ、その方角を見上げるも、秋空が広がっているばかりで、まだ肉眼では確認することは出来ませんでした。そもそも1000メートル近い上空を風の流れに乗って飛んでいるサシバなので、今夜の寝床となる地上の森へと下りてくるには少し早いようです。

しばらくすると、青空をバックに小さくサシバのシルエットが見えてきました。肉眼では一羽、二羽しか確認が出来ませんが、サシバは群れをなしてやって来るので、双眼鏡で覗いてみると、そこには無数のサシバサシバ飛んだか!~サシバ観察会@松原夕陽ヶ丘が乱舞している姿がありました。
南から、東から、次々にサシバの小さな群れが上空に現われ、無数のサシバが舞う姿を肉眼でも見えるほどの巨大な群れへと膨れ上がり、観測会に参加している人たちに興奮が湧き上がる、圧巻の「鷹柱」が出現しました。
この日、夕陽ヶ丘で観測されたサシバは今シーズン最多の1700羽を数え、今年の通算飛来数も、すでに15000羽を超え、昨年の数値を上回ったそうです(サシバのカウントは伊良部島の市支所でも同時に行われており、飛来した総数は平良分と合算したもの)。

夕景の天空を勇壮に舞うサシバの群れはとても美しくありました。宮古島といえば海の美しさが注目されがちですが、陸地にも空にも、こうした目を楽しませてくれるたくさんの自然があります。この素晴らしく豊かな情景が、いつまでも当たり前に見ることの出来る島でありたいと感じさせるサシバ観察会でした。

(文+写真+編集:モリヤダイスケ 協力:宮古野鳥の会)





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Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(2)あんちーな特集
この記事へのコメント
記事の中に紹介されていた愛知県の伊良湖岬は、私が子供の頃から慣れ親しんだ場所です。
(ここの町は石垣島と姉妹都市になっています。)
こちらでサシバを見掛けるのはまだまだ残暑の頃なので、宮古島でその話題がのぼる季節は秋が深まった感がします。
当たり前なことですが「宮古と空が繋がってるんだぁ〜!」と高くなった空を見上げながら幸せな気分になる季節です。
Posted by ピンクパンサー at 2008年10月23日 23:25
ピンクパンサーさん>

コメントありがとうござます。
サシバは来ると、宮古島では「秋」といっていますが、実際にはまだまだ陽射しは暑く、Tシャツで十分だったりもします(一応、新北風も吹きましたが・・・)。
Posted by あんちーかんちー編集室あんちーかんちー編集室 at 2008年10月24日 01:50
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