2009年10月09日
第4回 なりやまあやぐまつり ~ぶどぅり とぅゆまし 肝心~
宮古島はパーマァ(17号)と、メーロー(18号)のダブルタイフーンに挟まれた、なんとも危うい気象状況の最中、「第4回 なりやまあやぐまつり ~ぶどぅり とぅゆまし 肝心(つむぐくる)~」の開催を迎えました。しかし、奇跡というのは本当に望めば起こるもので、これこそが正真正銘の宮古島マジックといえるような、「なりやまあやぐ」の響く夜となりました。
「なりやまあやぐ」は、宮古島を代表する民謡として名高い名歌です。タイトルにある「あやぐ」は漢字では「綾語」と書き、美しい言葉という意味になります。美しい旋律に乗せて歌われる「なりやまあやぐ」は、旅に出る夫にむけて妻が戒めを説く教訓歌であり、文字通り「綺麗な花にはトゲがある」そんなイメージに繋がる歌なのです。
現在のよく知られている「なりやまあやぐ」には元歌があり、過去に一度だけ聞く機会がありましたが、同じ歌とは思えぬほどの差異があったのを覚えています。聞いたのはその時一度きりだったので、最早おぼろげなものになってしまったので、少し調べてみると元歌はどうやらかなり艶っぽい歌詞で、ラブラブなカップルの愛の交歓を、エロティックにストレートな表現で歌ったものらしく、人前で歌うにはかなり抵抗があったそうです(もっとも、宮古口なのでヒアリングが出来たらということになるでしょうけど・・・)。
その後(明治以降)、叙情的な即興歌として歌われ、伴奏がつくようになって楽譜(工工四)化、音源収録されるなどして、元歌とは歌詞もモチーフも時代の変化とともに変わるも、多くの人に愛される名歌として「なりやまあやぐ」は広く親しまれるようになったようです。
さて、第四回なりやまあやぐ大会です。大会は「なりやまあやぐ」の発祥の地、友利集落にあるイムギャーマリンガーデンに設えられた水上ステージで開催されるのですが、夕方前、南の海上から急速に黒雲がもくもくと湧き立ち、凄まじい土砂降りが音を立てて降ってきました。バケツどころか盥、いやファームポンドをひっくり返したくらいの激しい雨。いつまでも止みそうにない雨脚に、これは中止か?と気をもむ。当日の気象状況は本島方面に向けて近づきつつあるメーロー(台風18号)と、フィリピン近海で迷走停滞を続けるパーマァ(台風17号)に挟まれた宮古島。台風本体の直接の影響はないものの、ふたつの台風が巻き起こす気まぐれな余波に翻弄される天候であった。
小一時間近く激しい雨を降らせた雨雲が、次第に北へと風に流されて雨は止み、なりやまあやぐ大会の会場では、急ピッチで大会の最終準備が再開されました。
雨は上がったとはいえ、静かな入り江のイムギャーマリンガーデンのすぐ目の前の大海原は、大きな白波が次々と打ち寄せる荒れた海況で、どことなくざわついた雰囲気の中、牛のオブジェの東屋を山頂にいただく御願山をバックに、友利の獅子舞が勇壮に舞い踊り、第四回なりやまあやぐ大会の幕開けとなりました。
まだ雲がちではあるものの、気づけば空には日差しが戻り、さきほどまで降っていた大雨が嘘のように天候が回復。東の空には虹のアーチが大会のスタートを祝福するかのようにかかっていました。
子供の部には三名の参加者が、大人顔負けの「なりやまあやぐ」を歌い上げます。プロでも難しいとされる「なりやまあやぐ」を弾きこなし歌うさまは、なりやまあやぐ発祥の地、友利から地域の伝統芸能文化をアピールし郷土の誇りを継承をするという、この大会の意義を大きく象徴しているようです。
西の空の雲間から差し込む夕陽の赤にゆっくりと染まり始めた頃には、時ならぬ豪雨に様子を見ていたのか、いつしか大勢の観客で会場は埋めつくされていました。
今や大会の名物となったロウソクの明かりが次第に、雰囲気を増して幻想的な水上舞台が出現し、午前中の予選を勝ち抜いた、本選出場者18名がその歌声を競い合います。
そんな中、なりやまあやぐの奇跡がまたひとつ起こりました。雲の掃けた夜空に満月が顔を出し(正確には満月の翌日)、会場はよりいっそう素敵なムード包まれ、夜空に響き渡る歌声に酔いしれました。
最後に、おさらいというわけではありませんが、宮古島を代表する名歌「なりやまあやぐ」の歌詞を。
【参考資料】
なりやまあやぐ / 三線のススメ (歌を聴くことが出来ます。※音が出ます)
なりやまあやぐ(2007年07月14日) / たるーの島唄まじめな研究
「なりやまあやぐ」は友利の財産 / 宮古毎日新聞
【関連記事】
第3回 なりやまあやぐまつり
(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
小一時間近く激しい雨を降らせた雨雲が、次第に北へと風に流されて雨は止み、なりやまあやぐ大会の会場では、急ピッチで大会の最終準備が再開されました。
雨は上がったとはいえ、静かな入り江のイムギャーマリンガーデンのすぐ目の前の大海原は、大きな白波が次々と打ち寄せる荒れた海況で、どことなくざわついた雰囲気の中、牛のオブジェの東屋を山頂にいただく御願山をバックに、友利の獅子舞が勇壮に舞い踊り、第四回なりやまあやぐ大会の幕開けとなりました。
まだ雲がちではあるものの、気づけば空には日差しが戻り、さきほどまで降っていた大雨が嘘のように天候が回復。東の空には虹のアーチが大会のスタートを祝福するかのようにかかっていました。
子供の部には三名の参加者が、大人顔負けの「なりやまあやぐ」を歌い上げます。プロでも難しいとされる「なりやまあやぐ」を弾きこなし歌うさまは、なりやまあやぐ発祥の地、友利から地域の伝統芸能文化をアピールし郷土の誇りを継承をするという、この大会の意義を大きく象徴しているようです。
西の空の雲間から差し込む夕陽の赤にゆっくりと染まり始めた頃には、時ならぬ豪雨に様子を見ていたのか、いつしか大勢の観客で会場は埋めつくされていました。
今や大会の名物となったロウソクの明かりが次第に、雰囲気を増して幻想的な水上舞台が出現し、午前中の予選を勝ち抜いた、本選出場者18名がその歌声を競い合います。
そんな中、なりやまあやぐの奇跡がまたひとつ起こりました。雲の掃けた夜空に満月が顔を出し(正確には満月の翌日)、会場はよりいっそう素敵なムード包まれ、夜空に響き渡る歌声に酔いしれました。
最後に、おさらいというわけではありませんが、宮古島を代表する名歌「なりやまあやぐ」の歌詞を。
サー なりやまや
なりてぬ なりやま
すぅみやまや すぅみてぃぬ
すぅみやま イラユマーン
サーヤヌ すぅみてぃぬ すぅみやま
サー なりやまや参すてぃ
なりぶり さまずな主
すぅみやま参いすてぃ すみぶり
さまずな主 イラユマーン
サーヤヌ すみぶり さまずな主
サー 馬ん乗らば
たずなゆ ゆるすな主
美童家行き
心ゆるすな主 イラユマーン
サーヤヌ 心ゆるすな主
サー 馬ぬ美さや
白さど 美さ
美童美さや
色どかぎさ イラユマーン
サーヤヌ 色どかぎさ
【参考資料】
なりやまあやぐ / 三線のススメ (歌を聴くことが出来ます。※音が出ます)
なりやまあやぐ(2007年07月14日) / たるーの島唄まじめな研究
「なりやまあやぐ」は友利の財産 / 宮古毎日新聞
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(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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