2009年11月03日
声ゅ合し心ぅ合し宮古世-クイフェス2009-
乾いた大地を踏み鳴らして土埃を空高く舞い上げ、天空に雲を呼びおこし、大地を潤す恵みの雨を願う「雨乞い」の祈りを起源を持つクイチャーは、宮古伝統の民俗芸能として、島の各集落で古くから踊り伝えられて来た、島のアイデンティティそのもの。集落ごとに特色を持ち、ひと口にクイチャーといってもそのスタイルはさまざまにあります。
クイチャーフェスティバルのコンセプトに掲げる「大切なものは身近なところにある」という思いのもと、島の伝統文化を継承してゆくとともに、クイチャーの発展と創造を広げてゆく創作クイチャーとが共に集い、一堂に会する年に一度のクイチャーの祭典です。
今年は「声ゅ合し 心ぅ合し 宮古世(くいゅちゃーし きぃむぅちゃーし みゃーくゆー)」とつけられたサブタイトルは、心と心を通わせて人と人とのふれあいの「共存共生」を再認識しようという気持ちが込められています。
宮古島の各集落でその思いとともに踊り継がれる伝統のクイチャーと、豊かな発想と高い創造性にあふれる創作クイチャーの競演をご覧ください(出演順。団体名/クイチャータイトル)。
「みやくエイサー」は名古屋を中心に活動しているエイサーチームで、宮古島出身を中心にした「美わし会」と共にクイフェスに初参加です。
「鏡原Big Smileチーム」は人頭税の廃止を祝って、当時、鏡原に会った馬場でクイチャーを踊った史実を元に創作したエイサーを披露し、プカラス賞(創作エイサー部門を対象とした、団体の創作性を総合して贈られる賞)を受賞しました。
この夏、東京・青山でも歌われた宮古島の「神歌」が、このクイチャーフェスティバルの場でも披露されました。
神への敬虔な祈りの中から生まれたクイチャーと、神との対話の時に歌われる神聖な神歌。ともに神への祈りの先にあるもの。動と静の異なるふたつ祈りの表現がコラボレートされました。
「マブハイダンスグループ」は宮古に嫁いできた、いわゆる宮古嫁のフィリピーナの皆さんが、故郷・フィリピンのフォークダンスをそろいの衣装で踊ってくれました。
来春開催を予定している「宮古方言替え歌大会(仮称)」のデモンストレーションとして、誰もが知っている現代の曲を、宮古方言に訳して歌う試み。下地敏彦・宮古島市長も一曲披露してくれました。また、このクイフェスがステージデビューとなるパニパニJrが愛らしく歌い上げてくれました。
「うるか(砂川)のくいちゃー」は、小学生(昨年に続き二度目)と大人たち、それぞれが伝統部門で出場。地域伝統の輪がしっかりと広がっています。
「西原クイチャー保存会」の友利サダさんは1918年(大正7年)生まれの91歳。演舞参加者の中で最高齢として、昨年に引き続き実行委員会より「ガンズーウヤキ賞」が贈られました(ガンズーウヤキ:頑丈・富貴。転じて、健康に富んだ、長寿の意味)。
「佐良浜ミャークヅツクイチャー」。ミャークヅツには欠かせないミルク酒を呑むシーンが、クイフェスの会場でも再現されていました。
今やクイチャーフェスティバルではお馴染みとなった、みんなでクイチャーを楽しむ「クイチャー大競演」の一回目。大人も子供も、出演者も観客も、スタッフまでもが大きな円を描き、クイチャーを一緒に踊りました。
第7回全宮古中学校ダンスフェスティバルでグランプリに輝いた、「Secret Girls(平良中2年生女子)」は、リズムダンスにクイチャー独特の振りを取り入れて元気いっぱいに踊って見せ、クイチャーフェスティバルでもパニパニ賞(創作エイサー部門を対象とした、踊りの出来映えに対して贈られる賞)を受賞。
「友利のクイチャー」。なりやまあやぐまつりを始め、獅子舞やクイチャーなどの地域伝統の継承に集落で積極的に取り組んでいます。
「福里のクイチャー」は楽器を使わずに踊られる伝統クイチャーのひとつ。クイチャーはクイ(声)をチャース(合わす)という意味で、声と踊りを合わせて踊るのが古来からのクイチャーの姿でもあります。
「男塾 武Doo」。元気あるかけ声とともに、「中立のミガガマ」を躍動感にあふれる創作クイチャーにして踊ってくれました。
今や大人気のミヤコマモル君がキャッチーな創作クイチャーになって、クイフェスに初登場!。宮古島警察署のみなさんと一緒にコミカルに演じてくれました。ステージには今宵デビューを飾ったパニパニJrが花を添えました。
多良間島から参加の「多良間のクイチャー」は、輪の中で雨を呼び込む水を撒きながら踊る、多良間独特のクイチャーです。
クイチャー効果なのか、夜になってパラパラと降り始めた小雨が、ここに来て風を伴って急に強い降りとなる中、創作エイサーの常連「新羅」の演舞が行われました。
「フィットネスヨナミネ」はキングオブポップ・マイケルジャクソンのスリラーをベースにし、衣装やメイクもホラーを意識したクイチャーを舞い踊り、アパラギ賞(創作エイサー部門を対象とした、衣装の美しさを中心に贈られる賞)を受賞。
今年のクイチャーフェスティバルの大トリは、「荷川取のクイチャー」が務め、堂々たる伝統のクイチャーを披露してくれました。
フィナーレは会場全体を巻き込んでの「クイチャー大競演」が盛大に行われました。
「第八回 クイチャーフェスティバル 2009」には、恵みの雨が降りしきる中、33団体、およそ1400名が出演し、また、たくさんの人が訪れ、風雨を跳ね返す盛り上がりを見せてくれました。
クイフェスは宮古島の伝統芸能「クイチャー」の素晴らしい躍動を肌で感じ、それぞれ伝統の違いを発見する楽しさがありますが、見るだけでなく参加してともに踊ることで、伝統の重みと創作の感性を知ることで、よりクイチャーが身近になり、より宮古島が面白くみえるはずです。ぜひ、来年はアナタも一緒に宮古島でクイチャーを踊ってみませんか!。
クイチャーフェスティバル公式HP
http://quicha.com/
クイチャーフェスティバル公式Blog
http://quichafestival.ti-da.net/
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「クイチャーおと~り」 ~クイチャーのリレーエッセイ~
「第七回クイチャーフェスティバル2008」
(文+写真+編集:モリヤダイスケ 協力:クイチャーフェスティバル実行委員会)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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