2010年06月11日
reef sound -来間島歳時記- №003

島に根付き、土と語らい、空を読む、そんな島の農家の視点から語る今回の“葉っぱのつぶやき”は、いつもの来間島を飛び出して、上野の宮国地区にある友人のマンゴー農家から、来間嫁の砂川葉子が地球規模の壮大な芸術について語ってくれます。
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旧暦の五月四日(2010年は6月15日)は海人の大切な行事「海神祭」が来間島をはじめ、宮古各地の漁港などで催されます。海神祭では勇ましいハーリー(爬竜舟競漕)が行われ、海の安全と豊漁を祈願します。その昔、糸満の漁師から伝えられたという来間島のハーリーには、地元青年会やダイビングショップのスタッフ、婦人会、来間小学校、中学校からも参加します。青年会はさすがに雄壮な櫂さばきを見せますが、サバニに慣れてないチーム(例えば婦人会など)は、右に左に蛇行したり桟橋に衝突してしまったりと、会場の来間魚港に笑いを巻きおこします。

そんな島人の歓声が雨雲を吹き飛ばしてしまうのか、海神祭は梅雨明けを告げる祭ともいわれ、この祭が終わると島はそろそろ梅雨開け宣言となります。
本格的な夏の訪れとともに、畑人にとって新たな収穫の季節を迎えます。これからの季節に収穫されるものといったら、いまや島を代表する南国のフルーツの女王・宮古島マンゴー。そんな魅惑のフルーツと呼ばれているマンゴーに文字通り魅了されてしまった夫婦がいます。2年もの間、待って、待って、待ち続けた私の友人の平良夫婦を紹介したいと思います。

旧・上野村出身で地元企業のサラリーマンだった潤一サンと、関西から嫁いできた都会育ちの麗(れい)ちゃんは、マンゴーが大好きで大好きで、好きすぎて惚れ込み過ぎて、とうとうマンゴーの栽培を始めちゃいました。そう。脱サラして自らがマンゴー農家に転身しちゃったんです。こんなことなかなかできることじゃないですよー。
平良夫妻のマンゴーにかける情熱は、ホントに凄いです。2008年に52アール(5200㎡)、15棟のマンゴーハウスを導入し、マンゴーの木を植え付けたのです。そして2年間じっくりと手塩にかけて育てたマンゴーが、今年やっと初めての収穫の日を迎えます。それはそれは平良夫妻にとっては狂おしいほどに待ち遠しかった感激の瞬間です。

マンゴーの収穫の時ほど、美しさと眩しさに心をときめかすものはないでしょう。マンゴー農家の朝はとにかく早く、まだ夜が明けきらぬ朝の涼しい時間帯からマンゴーハウスに入って収穫をおこないます。
取りごろを迎えたマンゴーは昇ったばかりの朝日を浴びて、それはそれはひときわ赤く輝いて見えます。ホントにピカッと輝いていて、とっても綺麗なんですよ。マンゴーには日焼け防止のために白い紙の袋がかかっています。だけど、その袋の上からでも赤く輝いているのが判るくらいなのです。
手のひらにマンゴーを載せて、優しくマンゴーのおしりをちょっとだけ持ち上げると、木の枝から自然にマンゴーがはずれるのです。これこそが完熟の証拠。
この瞬間まで2年という月日を待つということは、植え付けから収穫まで約2ヶ月と短い、私のようなごうら農家からすれば恐ろしく長い期間に感じますし、日々の世話などを考えたら相当の覚悟がないと出来ないことだと思います。

マンゴー栽培の基本は、まず2年間じっくりと木を育てること。マンゴーの木自体にに力をつけることで、より美味しいマンゴーを収穫することが出来るのです。
「マンゴーの持つ本来の木の力を信じてあげれば、この木の力を引き出すような栽培をすれば、必ず美味しいマンゴーが出来る」と平良夫妻は語っておりました。
平良夫妻にとってのこの2年間は、夫婦の心をひとつにして、まさにマンゴーと一心同体だったような日々だったのではないでしょうか?。マンゴーも、ごうらも、他の農作物も、すべて植物、命あるもの、農家は片時も自分の畑の作物から心が離れることはありません。まさに我が子のように育てていくのです。先の平良夫妻の言葉は、マンゴーを信じて自分たちの生き方を信じているからこそ発せられる言葉だと思います。
愛情こめてしっかりと、じっくりと丹精込めて育てた平良夫妻のマンゴーが、どんな味なのか?。間違いなく美味しく、期待を裏切らない味だと思います。私は平良夫妻のマンゴーを賞味できる日が楽しみでなりません。

元サラリーマンの潤一と関西人宮古嫁の麗ちゃんを、ここまで魅了してしまうマンゴー。一念発起して一生涯をかけて始めた農業。なんでそこまで?って思う方もいるかもしれないですよね。でも、それだけ農業って魅力的なのです。農業って面白いんです。
確かに、汗水流して泥まみれで格好悪くてキツいって、云われてる職業だけど、農業から広がる世界はとても広いんです。第一次産業として農産物を作るだけでなく、採れたての新鮮な農産物をジャムや漬物などに加工して販売したり、都会ではなかなか出来ない農作業の体験する観光農園として提供したりと、農業は第二次産業にも第三次産業にも繋がっている、島の元気を発信するタネとなる産業なのです。
マンゴー農家としてがんばっている平良夫妻と、島の農業の可能性について話していると、そうした夢がどんどん広がって楽しくてたまりません。農業の可能性は、無限大だと思います。
私が思うに農家はアーティストだと思います。地球という巨大なキャンパスに農家は、美しい色をつけて農作物という作品を生み出しているのですから。これほど壮大で夢のある仕事は他にないと思ってます。
宮古島のマンゴーはティダ(太陽)の色。そんな太陽のように赤く輝くマンゴーが色づく日は、もうすぐそこまで来ていますよ!。
◆ティダマンゴー宮古島農園
http://www.tida-mango.com/
※全国発送も行っています(6月中旬頃より発送)
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砂川葉子(すなかわようこ)
1975年生まれ 岐阜県出身。
2000年に宮古・来間島へ来島。縁あって農家の「嫁」となり、ダンナ、娘(4歳)、息子(2歳)の4人で力をあわせ、のんびり楽しく島に根付いた暮らしをしています。
「来間島・徳さんちのごうら畑」 http://kurimajima.web.fc2.com/
(文+写真:砂川葉子 編集:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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