2010年06月04日
美ぎ島ミュージックコンベンション2010 [後編]
豊かな宮古島の自然に惚れ込み、この場所で思いっきり音を奏でたいというGENTAさんのミュージシャン魂から生まれたのが「美ぎ島ミュージックコンベンション」です。タイトルにもある「美ぎ島(かぎすま)」とは島の言葉で「美しい島」という意味で、自然の中で音を楽しむだけでなく宮古島の素晴らしい自然を守り、「訪れた時よりも、帰ったあとほうが綺麗な宮古島にしよう」という思いが込められています。
お待たせいたしました!それでは「美ぎ島」密着レポート後編です(前編はコチラ)。
じらす訳ではありませんが、まずはライブ本編を前に大事なレポートから。
美ぎ島ミュージックコンベンション2日目 川満会場の初日。29日 朝8時。川満集落の御嶽にGENTAさんの姿がありました。2006年からイベント会場として利用している川満集落の方々から、イベントの成功と集落の繁栄のために、是非、御嶽へ御願に来て欲しいと進言があり、大川御嶽(うぷかーうたき)へと参じたのでした。
この大川御嶽は会場入口から見えるマングローブ林の奥にこんこんと湧く湧水・大川(うぷかー)の脇にあり、この湧水は古くから集落の生活用水として大切にされているだけでなく、汽水域に育つマングローブをはじめとした周辺の動植物にとっても無くてはならない、命の水を祀ったものなのです。
29日 9時30分。GENTAさんの姿は、市内に完成したばかりのエコハウスの前にありました。このエコハウスは環境省の21世紀環境共生型住宅事業の一環として建設されたモデルハウスで、気候風土に合わせたエコな設計がなされ、冷房のない部屋の体感温度で一般住宅より最大で約3度下がる工夫が内外装などに凝らされています。
美ぎ島ミュージックコンベンションから宮古島への感謝と、島に緑を増やそうというささやかな願いから記念植樹を行いました。
開場前の12時過ぎ、天候は雨。特設ステージでは間もなく始まるライブを前にリハーサルが行われています。開場を待つお客さんに宮古島の自然を体験してもらおうと、ボランティアガイドの宮古環境クラブによる無料のマングローブ観察ツアーが開催され、ステージの方から流れてくるリハの音を聴きながら、会場のすぐそばにある大川(うぷかー)マングローブ林を巡りました。
第2日 2010年5月29日(土) 川満漁港グラウンド特設ステージ
13時前。どうにか雨も止み、やや遅れての開場です。お待たせいたしました。ここから怒涛の美ぎ島2日目のライブがスタートです。
オープニングは今年で三回連続となる「砂川たかゆき」が務めます。しかし開始わずか10分、再び雨が落ちて来たかと思ったらステージが白むほど激しい降りとなる波乱の幕開け。
雨の降りは勢いをなくしたものの変わらずに落ちてくる雨粒。前のステージから出ずっぱりのハーモニカの「八木のぶお」とワールドミュージック系アコースティックバンド「TAYUTA」のジョイントが続きます。
事前の天気予報でも今日の降水確率は70パーセントと高く、降雨は予想されていましたが野外イベントだけにステージまわりの機材とアーティストの楽器が心配です。ステージの最中も音響スタッフは忙しく動き回っていました。
宮古島・城辺出身の「砂川恵理歌」のステージでは、島言葉満載でサプライズゲストに「古謝美佐子」を呼び込み「童歌」を熱唱。天(てぃん)も感涙したのか、一粒どころか大粒の涙を落としてきました。
そんなコイン洗車機の中にでもいるような大雨のまま「Nose Water」のライブが始まりました。「雨なんか降ってない!」とオーディエンスを煽り、名曲「ダンボールブギ」で雨をなぎ追い払います。
続いては「Wyolica」が登場。雨もこのまま上がるかと思わせたが、気づけばまたポツリポツリと雨粒が落ちてきます。ゲスト参戦の「SWIN-O」はキーボードで演奏の予定だったそうですが、雨を考慮して急遽、楽器を鍵盤ハーモニカに変更(ピアニカもメロディオンもともに登録商標である・・・ライブMCより)するひと幕も。
場内に軽快なエレクトリック・ヴァイオリンが響き渡り、美ぎ島初登場の「金原千恵子」のステージが始まりました。途中、雨の影響で音の出なくなるハプニングもあったものの、カッコいいストリングスを魅せてくれました。
ふたつのステージを交互に運用するので、テンポよくライブが進むのが楽しくもありますが、ここで美ぎ島お馴染みのGENTAさんによるモンテドールと多良川の生CM。
CMのあとは一転、「瘋癲」のヒップホップがリズミカルにリリックを刻み、「竹原ピストル」の鋭く尖った激しく熱いポエムに撃ち抜かれ、「SOIL&"PINP" SESSION」の雨雲を引き裂くような爆音のデスジャズが轟きました。ヒップホップ、フォーク、ジャズとジャンルにとらわれない、さながら万華鏡のようなラインナップも美ぎ島の流儀。でも不思議とそのどれもが素敵で楽しくて面白くて心地よく、会場は降っては止み、止んでは降る雨を跳ね返す盛り上がりをみせます。
ようやく止んだ雨。普段なら日焼けと熱中症を心配する陽射しの下でのライブになるはずが、気温の高さも幸いして寒さもなく、ライブに酔って熱くなった頭と体をクールダウンさせてくれる、どこか気持のちよいシャワーのような雨だったようにも感じました。
そんなゆっくりと暮れゆく中で、「秦基博」のアコースティクなステージが始まりました。ギター一本で伸びやかに歌うその声に会場が魅了され、気づけばすっかり日も暮れて、夜の帳がおりていました。
2日目のラストを飾るのは美ぎ島になくてはならないスーパーラテンバンド「Orquesta De La Luz」。一気呵成に熱い熱い熱ーいラテンナイトに突入です。
この美ぎ島ミュージックコンベンションで何度も聞いていますが、やっぱ「Orquesta De La Luz」は熱いですね。なんとライブのラストではステージを降り、ホーンセクションと美ぎ島のノボリ隊引き連れて、会場のお客さんの間を練り歩いてしまうというパフォーマンスまで飛び出す始末。「Orquesta De La Luz」にとってもラテンフレーバーの強い宮古の土壌は、相性がいいのだと実感してしまいました。
この夜の帰り道、ふと見上げた空に満月が昇っていました。
みなさん、ごめんなさい。あまりにも濃密に「美ぎ島ミュージックコンベンション」のレポートを細密に書きすぎてしまい、後編だけはおさまりきりませんでした。次号、完結編へ続く。もう一回、括目して待て!。
「美ぎ島美ぎ島ミュージックコンベンション in MIYAKO Island 2010」
2010年5月28日(金)~30日(日)
与那覇前浜/川満漁港グラウンド特設ステージ
http://www.music-convention.com/
[関連記事] 2009年のレポート
美ぎ島ミュージックコンベンション2009【前編】
美ぎ島ミュージックコンベンション2009【後編】
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(文+写真+編集:モリヤダイスケ)
Posted by あんちーかんちー編集室 at 09:00│Comments(0)
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